男子高校生の体調不良集 part2

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蓮side


授業後。

同じクラスの湊とひろが保健室まで来てくれた。


「蓮ー大丈夫？」


湊の優しい声に、頭まで被っていた布団から、顔を出す。


「…うん、だいぶ楽」


お腹の痛みもだいぶ和らいでいて、おれは心配そうな彼に笑ってみせた。

湊も安心したように、花が綻ぶような笑みを浮かべる。


「じゃー帰ります。ありがとーございました」


石谷先生と話していたひろが頭を下げ、おれたちを見た。

おれは怠い体をゆっくりと起こす。

湊がさりげなく支えてくれた。


「……ぁ。先生、袋貰っても良いですか？」


保健室を出る間際、思い出して先生を振り返る。


「良いけど…大丈夫？気持ち悪いの？」


石谷先生が心配そうに眉を寄せた。

おれはあわてて首を振る。


「いえ、その、一応…」


今”は”吐かないと思うけど、いつ吐くかわからないし。

それに…何かちょっと、胸がもやもやするんだよな…。

使う場面が来ませんように、と願いながら石谷先生から袋を受け取る。

湊が「大丈夫？」と聞いてくるのにも、おれは笑顔を返しておいた。



保健室を出て廊下を歩く。

保健室との寒暖差にぶるりと背中を震わせると、ひろがコートを掛けてくれた。


「ひろが寒いんじゃ、」


「オレは良いっつの。まず自分の心配しろ」


返そうと思ったけれど、ひろのぶっきらぼうな優しさが嬉しくて。

ありがとう、と笑えば、ひろはそっぽを向いて別に、と呟いた。

そんなおれたちのやり取りを、ふわふわと笑いながら湊が聞いている。





この時間が、楽しくって。


またじくじくと痛みを主張してくる胃と、せり上がってくる気持ち悪さには、気付かないふりをした。





　

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