男子高校生の体調不良集 part2

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蓮side


「…っう」


保健室。

タイミング良く通りかかった石谷先生が吐瀉物を片付けてくれ、おれはひろに連れられて来た。

ベッドに横になってるんだけど、お腹が痛くて寝れない。

熱はさっき計ったら37.3℃と微熱で、胃腸風邪だろうと言われた。

熱は高くないのに、お腹がものすごく痛い。


ひろはあの後授業に戻って行って、今は6時間目かな。

石谷先生が早退するか聞いて来たけど、正直車だと酔いそうだったから、授業終わったらひろたちと一緒に帰ることにした。


「…っぃ、」


何だこれ、めっちゃ痛い。

お腹に手を当てて体を縮めていると、閉まっていたカーテンが開いた。

石谷先生が顔を覗かせる。


「お腹痛い？気持ち悪いとかはない？」


「今は、ないです…」


お腹に温かいものが当たった。

へ、と間抜けな声が出る。

石谷先生が優しく微笑んだ。


「湯タンポ。あっためた方が楽かなって思って。どう？」


「ありがとう、ございます。さっきよりだいぶ楽です…」


ほかほかと温かい湯タンポを抱いていると、先生が「そうだ」と声を上げる。


「ココアあったんだ。飲む？あったまるよ？」


「……ぁ…えっと、」


気持ちは、嬉しい。

おれのこと思って言ってくれたんだろうけど…。


「…吐く、かもしれないので」


もう、吐きたく、ない。

だって、あんなに怖いなんて。

吐いたことなんか全然無かったから、怖くて。

自分の体じゃ、ないみたいで。


石谷先生はうーん、と困ったような顔をした。


「まあ、吐かないとは言い切れないけど…。でも水分とらなきゃ脱水起こしちゃう。あったかいのもダメかなぁ…」


どうしよ、先生困ってる、よな。


「…っじゃあ、飲みます」


大丈夫、だって今は気持ち悪くないし。

おれのせいで、誰かが困るのは嫌だから。







「はい。無理しなくて良いからね」


受け取ったマグカップに、口をつける。



温かいココアの甘さが、ふわりと口の中に広がった。



　

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