生理現象 ページ27
「ゾムさん、熱あります?」
「え、ないで?」
「でも目も潤んでるし…」
冷えたんじゃないですかと聞くと、「もしかして」とゾムさんは声を上げた。
「あれかな。目の下あたり、赤い?」
「はい。そこら辺から、頰全体にかけて」
「あはー。それな、生理現象や」
「うん?」
「生理現象。ああいうちょっと危険な仕事をした後に、なってまうん」
「?どういう、原理で?」
「原理というかまあ、そこそこ知られてることやんな」
普段はすぐ収まるんやけど、やっぱAがおるからかな、とはにかむゾムさんの言っていることが、よくわからない。
すると、「つまりな」と低く前置きして、ゾムさんは私の首の下から腕を抜くとひょいと体を起こして私に覆い被さった。
「発 情してんねん。ああいうことの後やからな」
その言葉と体勢に、ぼぼぼ、と顔が熱くなってしまった。一旦私の上から退いたゾムさんは、「んーどこかなー」とベッドサイドを探り、これや、と何かを私に放る。
「キーケース?」
「んふ。ケースは合っとる。開けてみ」
薄いキーケースのようなもののチャックをジジ、と開けると、中には、正方形のフィルムに包まれた輪っか状ものがいくつか入っていた。透過して見える「0.02」の数字に、バーでの会話をようやく理解して恥ずかしさのあまり涙が浮かんでくる。
「0.01ミリまで。そういうことや、わかった?」
「うぅ…セクハラじゃないですか!?」
「俺もそう思った!直訴しとくわ!トントンあたりに訴状出しとく、胃薬添えて」
ゾムさんはそう言うと、ひょいと私の手からケースを取って、ヘッドボードに置いた。
「まあこれは追々、な」
「私自信ないです」
「大丈夫やって。Aに合わせるから」
「でも、その…したくは、なるんでしょう?お仕事とかの…せいで」
「まあ仕事の後だけじゃなくても、Aがこんな近くにおればいつだってした…あ!ちょま、逃げんといて!」
呆気なく太い腕に捕まり、寝転んだゾムさんと一緒にまた元の位置に戻る。ただ、私はゾムさんに背中を向けているような姿勢だ。
「大丈夫、理性はある、はずやから!」
「はず、」
「確実にあります。あり、あります。だから怯えんといてやA」
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ぶり(プロフ) - すごく良かったです(;_;)続編出るかもとあとがきで仰られていて、楽しみにしておりますm(*_ _)m (8月1日 6時) (レス) @page32 id: f4bc3258e7 (このIDを非表示/違反報告)
ハイ(プロフ) - 四ツ谷抹茶さん» コメントありがとうございます。まさに毎日の楽しみとしていただけるような作品を目指していたのでとっても嬉しいです!更新、頑張ります。 (2019年3月28日 23時) (レス) id: 5d539585d0 (このIDを非表示/違反報告)
四ツ谷抹茶(プロフ) - コメント失礼します、更新お疲れ様です…!この小説の更新が本当に毎日の楽しみとなってしまいました。これからも体に負担がかからない程度に更新、頑張ってください!!応援してます! (2019年3月28日 20時) (レス) id: 2106793cf6 (このIDを非表示/違反報告)
るーさん(プロフ) - ハイさん» ハイさんは神ですか?神作品過ぎてもう…好きです (2019年3月27日 19時) (レス) id: a79aab8021 (このIDを非表示/違反報告)
ハイ(プロフ) - るーさんさん» コメントありがとうございます。引き続きお楽しみ頂けるよう頑張ります! (2019年3月27日 19時) (レス) id: 5d539585d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハイ | 作成日時:2019年3月25日 3時