・ ページ21
*
せんぱい。
俺じゃないな。
はは、やっぱ思ったけど俺じゃないわ。
………期待してたのに、うそつき。
あんな笑顔で駆けてきて、そして、
"
—————でるたになら教えてあげる
"
なんて、誰でも勘違いしちゃうだろう。
失恋ってこんなにつらいんだ、自分を追い込めてる時よりもつらい気がする。
喉が燃えるくらいに辛く感じた。唾を飲み込むだけでつらくなる。
ぜったい、素直に祝えないなぁ。
彼女に見合う男なんだろうか。DV彼氏…とかになってしまったらどうするのか。俺の方がいいんじゃないか。彼女の彼氏を素直に認められないかもしれない。というか、認めたくないなぁ。
「…そうだったんだな！お、応援してるぜ！」
「ありがと！早く結ばれたいなあ…」
応援、その言葉がつっかかったな。
本心は、どろどろと黒く溶けて応援できないわ。
ごめんな、A。
*
「今日ね、せんぱいに頭を撫でられたんだ！すごく嬉しかった」
そうニコニコ笑う彼女。
だんだんと薄い壁ができていくような気がする。
先輩とか言う奴の前では、そんな笑顔見せてるんだよな、
俺には見せてくれなかったのに？
好きな人と、友人はそんなにも違うのか。
あの時言ってくれた「すき」は「好き」じゃないんだ？
うそつき…うそつき。
ひどいなぁ、キミは。
「好きな人に撫でられるっていいな、俺もされたいわ〜、笑」
全く笑えなかった。ぎこちない笑みを貼り付けてたよ。
………ねえ，気づいてよ。
おれ、キミのことが好きなんだよ。
友人の些細なことくらい、気づいてくれるんじゃないの。
ただの妄想か、ああこりゃ酷い。
*
「明日……ついに告白するんだっ！」
そう気合の入った彼女を見つめる。
………失敗して欲しいかな、俺的に。
絶対ろくでもないよ、その先輩。
俺なら生涯捧げるくらいキミを幸せにできる、そう誓えるのになぁ。
言葉にはできないのが、これまたつらい。
「おー、緊張するじゃん…応援、してるね」
……キミが振られるのを。
いいや、友人らしくないね。応援してるよ、付き合えるといいね。
ほんとうはその真反対なんだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 31人がお気に入り
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユズ - 知ってる歌の歌詞がタイトルになってる...!（嬉しい） (3月8日 9時) (
レス) id: ad7a46ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
世落さんず - いつも神作品をありがとうございます！！！更新応援しています！！( •̀ ω •́ ) (2月25日 22時) (レス) @page11 id: 0a59ca876b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いちごれもん | 作成日時：2024年2月11日 21時
