記されたものは何億と geno ページ12
*
この部屋にはオルゴールの心地よい音が鳴り響いている。
そのオルゴールをじっと見つめる。
金色のベールに包まれたオルゴールは淡く輝いている。
ガチャリ，と誰かが私の病室に入ってくる。このオルゴールの心地よい音色を聞いて，そっと言う。
「オルゴールの音がするもんだから、気になってノックせず入ってきてしまった…。すまん」
だれだろうか？
その骨さんはすこし赤いもので汚れたようなスリッパで、ぺたぺたと地面を歩いてわたしのベッドの隣に来る。
「……A、じゃなくて…、ええと、初めまして」
A？だれだろう、彼の友人なのだろうか。
彼の発言に首を傾げると、ふうと一息つく。
「信じられないかもなんだが…、キミはついさっき交通事故で記憶を喪失してしまったんだ。
俺はキミのかれ〜…いいや、友人だったんだ」
そう少し息を飲んで、気まずそうな目で私を見る。交通事故起こして、わたし、記憶喪失なんだ。
彼は友人らしい。名前を尋ねよう。
「……ジェノだ。キミ…自分の名前は覚えてそうか？」
名前を思い出そうとすると突然ズキン、と脳に痛みが送られた。
この様子だと私は覚えていない。そう首を横に振る。
「ああ、えっと…、キミの名前はAっていう素敵な名前が付けられていたんだ。覚えていなくとも、その名前…な、なんていうか…
お、俺が好きな名前だから…、そう自己暗示しててほしい…」
そう目を逸らす。A、A……、うん、確かにいい名前。
名前をつけてくれた…親？には感謝をしないと。
彼の少しきまりわるそうな問いにうん、と一つ頷くと、すこし和らいだ笑みを見せた。
「……記憶がなくても変わってないみたいで、少し安心したよ。」
そうベッドを囲む木枠に手をそっと置いた。
何を思ったか、私はジェノさんのその手の上に自分の手を重ねた。
————完全にない訳じゃない、どこかで彼のことを忘れないでと強く願われているような気がする。
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ユズ - 知ってる歌の歌詞がタイトルになってる...!（嬉しい） (3月8日 9時) (
レス) id: ad7a46ecd5 (このIDを非表示/違反報告)
世落さんず - いつも神作品をありがとうございます！！！更新応援しています！！( •̀ ω •́ ) (2月25日 22時) (レス) @page11 id: 0a59ca876b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いちごれもん | 作成日時：2024年2月11日 21時
