10話 ページ11
「もういい。そいつはとりあえず部屋に戻せ。こいつに聞く。」
…来た。
千鶴「そんな…ゆいさん…！」
『…俺は大丈夫だよ千鶴ちゃん。ほら、部屋に戻りな？
後はちゃんと話しておくから。ね？』
心配そうに此方を見てくる千鶴ちゃん。この子ったら本当、よく人の心配できるなぁ。
何時もの私だったらこんな状況、自分の事で手一杯。人の事気に掛ける余裕ないもんな。
千鶴ちゃんを連れていった斎藤さんを待っている間、広間はピリピリとした殺気で重苦しい雰囲気だった。
ガラガラ
…斎藤さんが帰ってきた。
すぅっ、はぁ。
静かに深呼吸をし、真っ直ぐと前を見る。
慌てない、騒がない、ただただ静かだ。
私は人を騙すのが…、表情や声を作るのがとても得意だ。
小さい頃から厳しく育てられたからか、いつも周りの顔色を見ていた。変化にはすぐに気づく。
観察力が人より優れているらしい。
だから、きっと、大丈夫なはず。
いや…。
やるしかない。
「まず、お前は何故あんな夜遅くに出歩いていたんだ。」
『…実は俺、旅人でして。江戸から此方に来たのですが思っていたより時間が掛かってしまい、泊まる宿がいっぱいで…。
宛もなかったのでどうしようかと、さ迷っていた所に悲鳴が聞こえてきて、そちらに向かうと、…後は貴方方の知っている通りです。』
っ、言えた！あー、怖い。かまなくてよかった…。
心の中ではそう思いながらも、絶対顔には出さない。
表情を少し変えながら、時には視線をさ迷わせて、真実味を出していく。
…まぁ、ここの人達は疑り深いからそう簡単には、
「ふーん。でもさ、刀も持たずに旅してたの？君、浪士の刀を使ってたでしょ。
このご時世、それは不自然だよね。」
あの胡散臭い綺麗な笑みを浮かべて、話し掛けてくる。
「そうなのか？そりゃ、変だよな！」
「確かに。刀も持たないで夜に出歩くなんて危険過ぎるぜ？」
……。
「ねぇ、教えてよ、どうして？」
『それ、は』
視線が鋭い。心臓が、煩い。
ドクン、
ドクン
…………………。
『…お恥ずかしながら、京に着いて直ぐに浪士に盗まれてしまいまして…。宿の事で少し焦っていたので、隙をつかれたんですね。』
＿＿＿＿＿＿ちゃんと考えてるよ？
念には念を。しっかりと、ね。ふぅ。一安心。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒(プロフ) - 総ちゃんさん» そうですね、シリアスが多いですかね？ありがとうございます！コメント、とても嬉しいです！ (2016年11月18日 19時) (
レス) id: b09ab0140a (このIDを非表示/違反報告)
総ちゃん - シリアスモノですかね？続きが気になります(^-^)v更新頑張ってください！ (2016年11月18日 14時) (レス) id: 725f51c669 (このIDを非表示/違反報告)
黒(プロフ) - え！本当ですか！？登場人物設定の所をクリックして、変換するんですけど…それでも無理ですかね…？ (2016年10月22日 15時) (レス) id: b09ab0140a (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - ちゃんと名前変換されないんですけどどうすればいいですかね？ (2016年10月20日 0時) (レス) id: 9371f41d6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：黒 | 作成日時：2016年9月8日 21時
