アーニャの姉は超能力者兼怪盗さん！？

33話 ページ37

壁に向かって話しかける今の姿は、
はたから見たら結構ヤバいやつだと思われるだろう。


もちろん私だってそう思う。

だって壁に向かって1人で話してたら怖いじゃんか。


…でも今はそんな事思ってる場合じゃない。


今の私はいたって真剣なんだから。


貴「…ねぇ、貴方は誰なの？ここにいるのはもう分かってるんだから」



返事は勿論なし。

私の机の上に置いてあるライトだけが唯一の明かりだ。


部屋の電気をつけてもいいのだけど何故かつける気にはならなかった。



貴「(…無視か？)」


自慢じゃないけど私は待つのが苦手だ。

腹が立つ…とまではいかないけど落ち着いていられない。



貴「早く出てきたらどうなの？…あー、それとも私が怖いの？」



今までの経験上このやり方が1番手っ取り早い。

たまに怪盗業でなにかする時もこの方法を使うこともある。

そうすると相手は必ずのってくるから。


意地の悪いやり方だな、と思いながらもニヤニヤした顔で壁を見つめる。

この姿もはたから見れば相当ヤバいやつだということは重々承知の上だ。


貴「…(ちぇっ、やっぱりこないか)」


そう思ったのも束の間、壁、いや詳しく言えば壁にできた私の影から黒いモヤの様なものがズズズ、と出てきた。


貴「…」


うん…何も言えないです。

いや、いるのは何となく分かってたけど…


貴「っ…誰！？」

？「いやいやいやっ！オメェが呼んだんだろーが！」


えっ、話せるの。

呆気にとられていると、黒いモヤの様なものは人の姿に変わっていった。


見たところ私より何コか上の歳の多分男の人…だ。


貴「…」

？「…」


気まずい。呼んだのは勿論私だけど整理する時間が欲しい。


貴「…あ、貴方は何者…なの？」

？「あー…。…お前と兄弟的な関係…？みたいな」

貴「はぁ？」

？「だぁぁ！待って！頭の整理させて！」


うるさいヤツだなぁ。

なんなんだこの人。


？「…んな目で見てくんなよな。自分がうるさいことくらい自覚済みだ。」

貴「自覚済みなの？これで？…自覚済みならもっと静かにしてよ。他の部屋には家族がいるんだから」

？「失礼なやつだな、分かったよ。」


貴「…兄弟的な関係ってどういうこと？詳しく」

？「詳しく言えば、お前が昔いたあの施設が原因ってとこかな。A…だっけ？Aがあそこで飲まされたヤツの1つー…って言ってわかるか？」


貴「いや全く」



私もそうだけどこの人らしき人も語彙力がないみたい。

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