19話 ページ19
「今お茶菓子持って来ますからねぇ。」
「え、そんな申し訳ないです！」
「良いのよぉ。折角来てくれたんだし。」
お婆さんは凄く物腰柔らかい方なようでいいから待っていなさいと言われるだけだった。
しかしご老人にそんな面倒かけされたくはないわけで。
「なら私もお手伝いします。」
「あらぁ。」
私がそう言うとお婆さんはびっくりしたように頬に手を寄せ嬉しそうに笑った。
「じゃあお願いしようかしらねぇ。」
「お、俺も」
「義勇ちゃんは駄目よぉ。昔急須のお茶をお煎餅にかけたことあるでしょう。
じゃあAちゃん、行きましょう。」
「い、いつの話を…。」
「あ、はい！」
煎餅にお茶かけるなんて…冨岡君って阿呆なのかドジなのがはたまた天然なのか…。ちょっと良くわからない。
私はゆっくり歩くお婆さんに歩幅を合わせて台所に向かった。
．
「今日は来てくれてありがとうねぇ。」
「い、いえ！とんでもない！」
来たって言うよりは強制的に連れてこられたのだけど…。まあここは冨岡君の肩を持ってあげますか。
お婆さんはしわくちゃな顔を綻ばせていた。冨岡君のこと、気にかけてるのかな。
「まさかこんなに綺麗で可愛らしい子があの子の彼女になってくれるなんて…私も鼻が高いわ。」
「…………ん？」
彼女？今、彼女って単語が聞こえてきた気がしたのだけれど…。
これは、どういうことなのかな？
「結婚報告が今から楽しみだわぁ。あら、まだ気が早すぎるかしらねぇ。」
お婆さんはまるで恋バナを聞く少女のように頬に手を当てて微笑んでいた。
……冨岡君、私、お婆さんの中で貴方の彼女っていうレッテル貼られてるんだけど。
てかなんでそんな嘘ついたの？ぶっ飛ばすよ？
…いや、私が倍返しされるだけか…。
今すぐにでも誤解を解きたいところだけれどお婆さんの嬉しそうな顔を見るとなかなか言い出せない。さてさてどうするか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 636人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aya(プロフ) - ラストに向けた展開に心揺さぶられました！ (2021年6月8日 2時) (
レス) id: 72cb3c8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーど - ヤバっ！トリハダたちました…！ (2021年5月16日 13時) (レス) id: 328ef4fff0 (このIDを非表示/違反報告)
巴 - 学園祭のお話がすごーく良かったです！高校時代に戻りたくなっちゃった。茶道部だったから不死川さんにお茶点てて差し 上げたいわ〜。 (2021年3月14日 0時) (レス) id: 7c1fbdaf37 (このIDを非表示/違反報告)
くれ - めっちゃ面白いです (2021年1月2日 17時) (レス) id: f26c98ad88 (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺の水道水(プロフ) - いやなんかw主人公の実況が好きすぎてw (2020年11月18日 7時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：白霞
| 作成日時：2020年7月11日 23時
