*NEARER

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Tetsuya side
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断片的に聞き取れたのは、あいてますか？といった言葉だけで 大人しく電話が終わるまで待つことにした。


「！…本当ですか ありがとうございます！
向かいます」

電話を切るAちゃんに対して、俺は首を傾げてると行きましょうと手を引っ張られる


「え？なに、どこに！」


好きな子に腕を引っ張られてくなんて、せっかく収まった心臓は早くも活発に動いているし勘弁して欲しい。

「どこって……ホテルですよ。」
「……はぁぁあああ？！！！」


宿無しって聞いた時より驚いたのは許して欲しい。

……あと、やましいことを考えたのも。
許して欲しい。


「だって、泊まるところないなら一刻も早く見つけないと。」

セキュリティは劣るかもしれませんが、同じホテルの隣が空いてたので勝手に取っちゃいました とあっけらかんとして言い放つAちゃん。

有難いし俺としては嬉しいけど……俺こんな幸せで良いのかや？


「…すまん。あと、ありがとうAちゃん」


俺が笑顔を見せると顔を真っ赤にしてぎこちなく前に向き直るのが可愛くて、つい俺の手首を掴んでたAちゃんの手を恋人繋ぎにチェンジしてホテルまでの道を歩いた。


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フロントで部屋の説明をなぜか2人で聞いて(Aちゃんを巻き込んでしまった)そのままカードキーを受け取る。

あれよあれよと同じ階で降りて名残惜しいながらも手を離すと、また明日会場で と笑って隣の部屋に入っていくAちゃんを見詰めていた。

…はずだった。


離した手を掴んで足で扉を押さえながらAちゃんを呼び止める。


「ね、明日の席どこ」
「へ！？え、えっと…2階の1列目…です」


「そっか、

いつもみたいに俺だけ見とってよ。」


おやすみ、ありがとうと付け足して扉を閉めた。


いきなりでかめの一歩を進んだ俺の恋。


この時の俺は、扉の向こう側で真っ赤になってるAちゃんを知らない。

……この恋の行方も。


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