*NEAR

Bouquet [tsmt] ページ38

Setting = 元彼女(現友達)

(なんとなく暗い話になります注意！ハピエンです。)
#


多分、今でも君を一番愛してるのは私だと思う。
こんなこと言ったら引かれちゃうかもしれないけどね。


別れてから2年ちょっと。

付き合ってた時のことを思い出すのは少なくなったけど、東海オンエアとして活躍するその姿を見るのが付き合ってる前からの日課だったから気付いたら目で追ってしまうんだ。

未練がましいな
なんて自分でもわかってるから


今日でやめようと思うんだ。


.


「すみません、花束をお願いします。」


店員さんを呼び止めてとしみつのイメージを伝える。
精一杯の感謝と不器用な愛を込めて、優しいリボンをかけてもらう。


可愛い花束を受け取り ありがとうございます、と声をかけて花屋を出ると胸がドキドキと忙しなく動いてる感じがした。

初デートみたいな感覚。
呑気なもんだよね。



待ち合わせの個室のレストランに意味もなく20分も前に着いてしまった。

どうせ遅れてくるからと座って花束をいじってると、ガラリとドアが開いた。


「よ。早くね？」


久々に会うとしみつは大人っぽくなっていて胸がまたドキドキとうるさくなる。

「としみつこそ、まだ待ち合わせの時間になってないよ？」
「うっせー この時間で遅刻はしねえわ」

上着を脱いで私の前の席に腰掛ける。

花束に視線が動いたけど触れられないようにメニューを差し出してコースを決めた。

.

デザートまで食べ終わった頃としみつが花束を指差して、なんそれ？と口に出した。
心地いい時間には終わりがつきものだね。


「あ、これ？としみつに。」
「俺？なんで…」

としみつの目の前に小ぶりな花束を差し出してやや強引に押し付ける。


「私まだとしみつが好きなんだよね。
でも今日でやめようと思って、けじめ。」


貰ってくれないと辛いから受け取ってよね、と花束から手を離すととしみつの手に渡った花束で顔を隠すようにしていた。


「………なあそのけじめ無しにしん」


俺も好きだから。と手を引っ張られて抱き締められた。

現実離れした返事に理解ができなくて、耳まで真っ赤な顔をしたとしみつを見てぶわりと涙が流れた。


「としみ、っ」
「俺も好きだから、やり直そ。」



もう一度抱き締めてくれるとしみつに涙声でもちろんと返した。



＿＿＿ / end


.
"押し付けた花束"というお題を元に。

お気に入り登録150人overありがとうございます。
よろしければ評価お願いします^^*

あまくあまく [tty] #req.→←　

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す