第101話 拭いきれない不安 ページ8
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脳裏をよぎる、小笠原さんと草川さんのセリフ。
−「私が独自に調査を行なっております」
−「卑怯な真似するほど落ちこぼれてねえーよ」
相談したくてもできない。
私の発言が原因で、他の人たちを混乱させたり本人の評判を傷つけたりする場合もある。
尤も、いま大変な時期である2人の評判に傷を付けるようなことは断じて許されない。
「(…どうしよう)」
不安を、拭いきれない。
＊
「佑亮くん…いる？」
私はルナ寮にいる佑亮くんのもとを訪れた。
1人じゃ不安だったから。誰かの傍にいたかったか。
佑亮くんは歯を磨いていたらしく、かしゃかしゃと歯ブラシを動かしながら私を部屋の中へ促す。
「ちょっと待ってー」と、くぐもった聞き取りにくい声で言うと洗面台へ向かう佑亮くん。
「ごめんね、お待たせ！どうしたの？」
佑亮くんは洗面所から戻ると、私をソファーに座るよう促す。私と佑亮くんは、ほぼ同じタイミングでソファーに腰掛けた。
「…佑亮くんの顔が見たくなった、というか」
私は情けない笑顔を浮かべながら、佑亮くんから少しだけ目をそらす。
「…えへへへ、ありがとう」
瞳を潤ませながら、いつものように笑った佑亮くん。いつもと変わらない笑顔に、ホッとした。
「あっ！ごめんね！お菓子とか、お茶とか出すね！」
佑亮くんは慌ただしくそう言うと、キッチンの方へ向かった。
「そう言えば、今日は1人なんだね」
コップに麦茶を注ぎながら、そう言った佑亮くん。私はどう答えて良いのか迷った。
「…実は−小笠原さん…しばらくここに帰ってこないみたいで。だから、当分は俺だけなんだ」
「そうなんだ…」
佑亮くんはバツの悪そうな顔を浮かべると、麦茶とお菓子をテーブルの上に置く。置かれたお菓子は、ここに来る前に私が好んで食べていたものだった。
「でも…佑亮くんがいるし」
私はそう言いながら、お菓子の封を開ける。
「…Aくん…」
佑亮くんは、消え入りそうな声で私の名前を呼ぶ。
「こんな−僕で、ごめんね…」
何故か、謝られてしまった。
「…僕、小笠原さんみたいに頼りないし…。頭も悪いし、心も弱い…。
こんな僕と、仲良くしてくれてありがとう」
不安が、また溢れ出す。
佑亮くんが、消えそうな気がして。
「えへへへ、今までこういうこと言ったことなかったから。ちゃんと、口に出さないとなあーって」
佑亮くんはなぜか悲しそうな表情を浮かべると、手に持っているお菓子を一口食べた。
第102話 逃げ出したい現実→←第100話 徐々に奪われてく
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桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ！ご指摘ありがとうございます(；´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります！よろしくお願いします！d(￣ ￣) (2018年12月23日 1時) (
レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます！126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています！ (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます･:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ！よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ！ (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SORA | 作者ホームページ：https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時：2018年5月29日 19時
