第129話 キスみたいな菓子 ページ36
.
ギモーヴというお茶菓子が気になって、私は一粒手に取る。ふわっとブドウの香りが広がった。
「あっ、A。それちょうだい」
そう言いながら、私に目を向けた船津さん。私は困惑しつつ、お皿を手に取った。
「あー…いま両手塞がってるから。食べさせて」
「えっ?あ、はい…」
ギモーヴを1つつまみ、船津さんの口へ持って行く。船津さんの視線はゲーム画面に向けたられたまま、私の指ごとパクッとギモーヴを口に含んだ。
生暖かい舌が私の指先に触れる。途端に恥ずかしくなって、慌てて手を引っ込めた。
「やっぱりお茶菓子にはギモーヴだな」
そう言いながら、さくさくとゲームを進める船津さん。私もギモーヴを一口手に取り、ハンカチで手を拭いてからコントロールを握った。
「…ギモーヴってさ、なんかの感触に似てない?」
ゲームの敵を倒しながら、突然問いかける船津さん。
「何かの感触…ですか」
柔らかい。それでいて暖かくて、ふわっと溶けるこの感じ。
「(なんだろう…)」
疑問に思いながら、私はクイックタイムイベントに突入した。
「ギモーヴってー
キスしているときの感触に似てるんだって」
そのセリフを聞いて、真っ先に思い浮かんだのはー
《Game Over》
テレビの画面にはたどたどしいフォントとサウンドでゲームオーバーを告げられた。
「あっ…ごめんなさい…。クイックタイムイベントだったのに…」
「良いよ。ゲームはいつでもやり直せるから」
そう言いながら、船津さんは私の頭を撫でた。
「…じゃあ次はー罰ゲームを設けよう」
「罰ゲーム?」
船津さんは満足そうに微笑むと、ギモーヴを1つ手に取る。そして、ギモーヴにそっとキスをした。
第130話 もう一度、遊ぶ?→←第128話 意外な一面を発見
179人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜月(プロフ) - うめこんぶさん» わわ!ご指摘ありがとうございます(;´Д`A 引き続き、良い小説が書けるよう頑張ります!よろしくお願いします!d( ̄  ̄) (2018年12月23日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
うめこんぶ(プロフ) - 更新ありがとうございます!126話と127話が抜けてると思いました。これからも楽しみにしています! (2018年12月23日 1時) (レス) id: 0ab6ffd78b (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - ぱにぱにこちゃんさん» コメントありがとうございます・:*+.\(( °ω° ))/.:+ ゆるゆるっとですが、更新しますのでぜひ!よろしくお願いいたします♪ (2018年12月1日 1時) (レス) id: 3c689d561d (このIDを非表示/違反報告)
ぱにぱにこちゃん(プロフ) - 更新待ってますっ! (2018年6月17日 7時) (レス) id: e09c37547f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:SORA | 作者ホームページ:https://twitter.com/SORA_39xx
作成日時:2018年5月29日 19時