芥川右固定噺『落とし物、忘れ物』 ページ28
※
学パロ
♀♂♀♂
「…ぁ」
小さな声が漏れて思わず口を押さえた。芥川は、自分の机の上に一本のシャーペンがあることに気づいた。
はて、一体誰がおいたのだろうか。少し考えてみたが見当もつかず、結局教卓の上に置いておいた。
**
またあるとき芥川が保健室に行ってベッドに入ろうとすると、きちんと包装されたぬいぐるみがあった。また誰かの落とし物…忘れ物だろうか。
芥川はまた不思議に思いつつ、保健医の机の上に静かに置いておく。
「要らないのかい?」
与謝野女医が声をかけるが、芥川は「忘れ物を貰う邪道な真似はしたくない」と言ってベッドに戻っていった。
***
芥川が日誌を書こうと居残りしていると、日誌の間に一枚の紙が挟まっていた。よく見ればそれは押し花のしおりで、とても綺麗に出来ていた。
あの芥川でさえ、その押し花の綺麗さに見惚れてしまったほどだ。
「……」
それでも、きっと誰かの忘れ物だろう。
芥川はしおりには触れず、静かに日誌を閉じた。
***
誰かの忘れ物や落とし物によく遭遇するようになった芥川は、やがて不審に思い始めた。
意図的にやっているような感じがしたのだ。もちろん根拠などはないが、それでも誰かが複数人でやっているのでは、と。
そういった事が起こるなか、芥川の机の中に一通の手紙が入っていた。
芥川以外ここには誰もいない。西日の入るこの教室に一人、芥川はいる。
“私たちからのプレゼント、全て綺麗にスルーしてくれているね。物欲が無いのかい?教卓の下を見てごらん”
そして誰が書いたか分からないこの手紙も、とても達筆な字と優しい物言いだ。嗚呼…これは、と芥川の頭の中で次々と繋がっていく。
教卓の下を覗いて見れば、やはりそこには今まで落とし物や忘れ物だと思っていたペンやらぬいぐるみやら諸々がたくさん入っている。
一人だけの放課後の教室に廊下からクスリ、と笑い声。両手いっぱいのプレゼントを抱えて芥川は廊下へ出てみた。
「君があまりにも鈍感だから案外傷ついたよ」
「そういう所が魅力ってのもあるけどな」
「でも芥川は物で釣れるような人じゃないよね」
夕日に照らされた三人の好きな人たちが芥川を笑顔で待っていた。今日はもう帰った方が良いだろう。
♀♂
皆に大事にされる芥川さんをやりたい一心でしたごめんなさい
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やつがれ愛し隊 - 最初から全部読ませていただきました。尊くて面白かったです!! (2021年9月9日 0時) (レス) id: 2ccc567f0f (このIDを非表示/違反報告)
僕推し - 作品全て面白く、楽しく読ませていただきました!ありがとうございます! (2019年1月2日 22時) (レス) id: ef4502d95a (このIDを非表示/違反報告)
月下美人 - とても面白いです!!! (2017年10月7日 20時) (レス) id: b2db7ef5ff (このIDを非表示/違反報告)
藤見日和(プロフ) - 忙しい毎日の中で一番の癒しですた( ; ; )新作楽しみにしてます!!! (2017年8月14日 14時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 瑠羽さん» いえいえ!こちらこそすみません!このコメント欄の下へ行くとある「作者ホームページ」にURLを張っておいたので其処から行けると思います!(分かりにくくてすみません) (2017年7月31日 19時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あをぞらばなゝ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年6月11日 0時