突然の訪問者 ページ9
冷蔵庫を見てみたが何もない。やはり買いにいくしかないのか。
この暑い時に、そして異能も使えないのに外に出ると言うのは芥川にとって己を死に追い詰めることと変わりない。
「………」
そして今気づいたが、この部屋は暑い。夏の終わりに似つかわしくない暑さだ。
このまま空腹に耐えるのも苦では無いが、時間をもて余すのは良くない。それに帰った太宰が失望するようなことはしてはいけない。
どうしようかと悩み、時間だけが過ぎていくなか、無機質な音が部屋に響いた。__何者かが来たのだ。
「ッ…」
気配を殺して覗き穴から見てみる。しかし見えるのは向こう側にある家だ。
否、覗き穴のギリギリ下に黒いものが見える。これは、と記憶を辿って思い出しているうちに今度はドアをノックする音がした。
そのノックの仕方で芥川はぱっと顔を上げ扉を開ける。
「なっ、中原さんっ…」
「よう、芥川」
其処には覗き穴から見えないくらいの身長で、芥川の上司である中原中也が立っていた。
「何故此処に…?」
「手前が危険に晒されてると思って助けに来た。ほら、帰るぞ」
「しかし…」
異能が使えないのに本部へ戻ってもただの用済みだ。そんなことになってしまっては困る。
「どうせ太宰の野郎に無理矢理連れて来られたんだろ?だったらまず仕返しを…」
「中原さん、やつがれは異能が使えなくなってしまった故に今こうしている訳で…」
確かに無理矢理と言われれば無理矢理連れて来られたが、太宰が撫でてくれたことは忘れない。
勇気を振り絞って言ってみたが、中原は芥川の頭にぽん、と手を置き、
「だから俺の家に来いって言ってんだよ」
爆弾発言をした。
29人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび - 今更文ストにハマりました…推しが太宰・中也・やつがれちゃんなので神作でした!やばいです好きすぎて!!! (2023年1月25日 11時) (レス) @page33 id: 9659da359c (このIDを非表示/違反報告)
ひきたろう(プロフ) - 芥川くんっっ。。。(lll __ __)バタッすいません。推しが可愛すぎて死んでました。笑笑中也さん男前すぎて惚れますね笑笑次回作楽しみにしてます! (2019年7月16日 12時) (レス) id: 5c7dffad8d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 千風さん» 大丈夫です。わたくしのスケッチブック及び教科ノートが芥川さんで埋めつくされているのでご安心ください← 本当にありがとうございました!! (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 堕落人間さん» ありがとうございます!!(土下座) 本当に楽しかったです!ホムペに生息してるのでお暇がありましたらいらしてください^^ (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
千風 - お疲れさまでしたぁ! なんかもう最後まで師弟がぁっ、師弟があっ!! 最近私のスケッチブックが芥川さんで埋まりすぎて怖い(切実) (2017年9月27日 19時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ