さりげないその一瞬が ページ8
**
太宰の携帯が鳴り響き、2人は目を覚ました。電話の着信が恐ろしい程あった。
「もしもーし…」
『太宰!何時になったら出社する気だッ!!4時間以上も遅刻しているぞ!』
「嗚呼…うん…おやすみ…」
『太宰ィイ!!』
このやり取りにすっかり目を覚ました芥川も時計を見てわなわなと震えている。電話を強制終了させた太宰は渋々と起き上がり言った。
「芥川君、具合は?」
「りょ、良好です…」
「そう」
軽く頭をぽんぽんし、台所へと向かった太宰は冷蔵庫を見てやはりがっかりした。勿論、料理は出来るが材料が無ければ始まらない。
ため息をついた太宰を芥川は目を離さずにずっと見ている。どうにも気まずい太宰は「じゃあ私、行ってくるね」と言い残して出て行ってしまった。
「太宰さんが…やつがれの頭を…」
撫でてくださった…何もしていないのに…。
紅潮する顔とは裏腹に涙目になる芥川。この時間がずっと続けば良いのに、と心から思うが、太宰はもう出社してしまった。
芥川にとっての一瞬は大きいと言うのに、太宰にとってはさりげない一瞬だろう。そして現在部下であるあの白虎は、日々こんな幸せを味わえているのだろうか__。
感傷に浸っていてはいけない、と気を引き締める芥川だが、心に残った蟠りはまだ解けないままだった。
そして誰もいないこの空間に腹の虫の鳴く音が響いた。
29人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさび - 今更文ストにハマりました…推しが太宰・中也・やつがれちゃんなので神作でした!やばいです好きすぎて!!! (2023年1月25日 11時) (レス) @page33 id: 9659da359c (このIDを非表示/違反報告)
ひきたろう(プロフ) - 芥川くんっっ。。。(lll __ __)バタッすいません。推しが可愛すぎて死んでました。笑笑中也さん男前すぎて惚れますね笑笑次回作楽しみにしてます! (2019年7月16日 12時) (レス) id: 5c7dffad8d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 千風さん» 大丈夫です。わたくしのスケッチブック及び教科ノートが芥川さんで埋めつくされているのでご安心ください← 本当にありがとうございました!! (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あをぞらばなゝ - 堕落人間さん» ありがとうございます!!(土下座) 本当に楽しかったです!ホムペに生息してるのでお暇がありましたらいらしてください^^ (2017年10月6日 21時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
千風 - お疲れさまでしたぁ! なんかもう最後まで師弟がぁっ、師弟があっ!! 最近私のスケッチブックが芥川さんで埋まりすぎて怖い(切実) (2017年9月27日 19時) (レス) id: d4838ee308 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ