黒外套の禍狗がある日突然異能を使えなくなったので。

夏は終わらずまだ暑い ページ20

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　翌朝。敦の家で寝た芥川は寝苦しさに目を覚ました。



「ん…」



　寝返りをうとうとするも、何かに縛られているような感覚で動かない。

　と、あることに気づいた。



「あれ…？芥川…起きたんだ…」



　敦が芥川を抱き締めているのだ。


　予想外の自分の現状に午前5時から動揺を隠せない芥川。敦も敦ですっかり目が覚めたようだ。朝ごはんにしようか、と今一度芥川を抱き締め敦は起き上がった。



「訳が分からぬ……」



　芥川がぼそりと呟く。咳が出た為顔を覆った。なかなか止まらない咳で、台所にいた敦が心配で駆け寄った。



「だ、大丈夫？水でも…」

「いっ、いらぬ！」



　が、ただ咳が止まらなかったからだけではないだろう。


　証拠はきちんとある。



「えっと……芥川…？」



　芥川の顔が真っ赤に染まり、目は潤み、初々しいことこの上ないからだった。


　芥川にとって、誰かに抱擁されて起きた朝など人生で初めてのことだ。異能が使えなくなってから芥川は生まれて初めてのことばかりを体験していた。




*♪*♪作者の部屋♪*♪*


　そろそろ場面転換しようかな、なんて。





　吹奏楽部なんですが(突然)、土日に行事だらけの日程なので更新できるか定かでないです。

番外編*『やつがれと猫』→←本能のままに動く

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