sacrifice〜21 ページ25
「前回よりは少しシンクロ率が下がったみたいですね。…ですがエヴァ搭乗とパフォーマンスには問題ないだろうかと。やっぱり、さっき少し泣いてたからでしょうか」
「でしょうね」
「不躾かもしれませんが、どうかなさったんですか?」
「いえ、何でも。時間割いてごめんなさいね。」
「ええ。お疲れ様です。」
淡白な会話。
話題を広げるなど出来もしなかった。
誰とも話したくない。
真面目に人を見ることさえ怖くて、目の前で起きることを受け入れたくなくて、逃げているようだった。
『中佐の様子が変だ』という話は光の如く船内に広がった。
それは、吉と出たのか、それとも凶と出たのか。
「A。」
「あ。アスカじゃない。どうしたのよ、そんな神妙な顔つきしちゃって」
「神妙になるわよ。…だって今艦内がアンタの話題で持ちきりよ」
さすがにそれには気づいていなかった。
「…面倒なことしちゃったわね」
「泣いてたんですって?」
申し訳なさそうにアスカは私に聞いた。
「まあ、ええ。そんなところね」
「まさか。あの共有写真の話?」
ごもっともだ。相変わらず洞察力は半端ない。さすがは私と違ってWILLEのエースだ。
「…ビンゴよ」
「DSSチョーカーが渡った先が、そうなの?」
「どこまでも鋭い推理力ね。お手上げだわ」
「まさかアンタ、EVAに乗ろうとしてるんじゃ」
「そうよ。乗ろうとしてるわ。シンクロ率だって問題ない。」
アスカのことだ。
絶対に止めるだろう。
「じゃあ、止めるしかないわね。あちらのすることを」
「…え?」
「戦力が多ければ、それほどいいことはないわ。但し、身体に障らないように、が絶対条件」
意外だ。
乗ることを止めるどころか歓迎してくれるとは。
「葛城艦長を説得できるかどうかは分かんないけどね」
アスカはそう言って苦笑いした。
「…それはそうよ。きっと私の身体を心配して、許してなんてくれないわ」
「キィちゃんには言うの?」
「…まだ考えてない。濁す、かな」
「難しいわね。」
「…仕方ないわ。そういう運命だもの」
これから用事あるから、と去ろうとすると、次どこへ?とアスカは私に聞いた。
「ダメ元で。」
アスカはなるほどというように頷いて微笑んだ。
「…まあ、一人で抱え込まないでよ。満足いかない返答なら、私も少し手を貸すわ。
あ、それとキィちゃんに今度一緒に遊ぼうって言っといて」
「…ありがと。」
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茉莉 - めっちゃ最高です!更新楽しみです!頑張ってください((๑•̀ㅂ•́)وガンハバレ~!!! (7月30日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 続きがテニスの王子様めっちゃ気になります! (6月22日 19時) (レス) id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
kaori - 読みました! (6月22日 19時) (レス) @page36 id: 1907f3ec8e (このIDを非表示/違反報告)
かずほ(プロフ) - 初めまして!昨日、シンエヴァ見に行って再び エヴァ 火付いてしまいましたw カヲルくんのとこ泣きました! こちらの夢小説シリーズ読ませて頂きました!更新楽しみにしてます! (2021年3月19日 19時) (レス) id: 4ea2670edc (このIDを非表示/違反報告)
RUKA(プロフ) - 長々とコメントを書いてしまい、ごめんなさい。続きがとても気になります。更新頑張ってください。 (2021年1月30日 9時) (レス) id: 4977de0b73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅坂紅子 | 作成日時:2016年2月14日 1時