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思わず周りを見渡す。
しかし、そこは広場とそれを囲む木々しかなくて
君はおろか、たんぽぽすら見えない。
思い過ごしかな。
そうは思っても、やっぱり君の香りがした気がしたんや。
"撮影は以上になります。ありがとうございました〜"
スタッフさんの掛け声と共に頭を下げ、
皆でロケバスに乗り込む。
俺も他のメンバーに続いてロケバスのある駐車場に向かっていった。
無意識やってん。
道端を見ながら歩いとった。
あの花、ここら辺に咲いとらんのかなって。
「小瀧さんっ！」
「うわっ、…あ、ごめんなさいっ…」
「あ、すみません…」
下ばかり見て歩いていたせいで、
目の前に走ってきたスタッフに気が付かずにぶつかりそうになってもうた。
「あの、これ。」
「え…………なんでっ、」
彼女が俺に手渡したもの。
それは、紛れもなく、たんぽぽやった。
まるで、俺が探していたのを知っているかのように。
まるで、君が逢いに来てくれたように。
「実は先程、撮影している時に一人の女性が話しかけて来て…このたんぽぽを小瀧さんに渡したいと仰っていたのですが、撮影中でしたしそういう事はお断りしているんです、と言ったらそうですかって。直ぐに諦めてくださったんですけれど、せっかくですので私が預かりました。」
「どんなっ、…どんな人、やったですか？」
「えっと、どんな……とてもお綺麗で、若い方でしたよ？それこそ小瀧さんぐらいの年齢の。」
「髪は？長かった？短かった？」
「長かった、です。茶色っぽくて…あ、まだ春なのに麦わら帽子を被ってました。可愛らしい人でしたよ。」
あの、春の香り。
間違っとらんかったんや。
絶対、Aちゃんや。
確証なんてないけど、でも、Aちゃんやろ？
別に俺、たんぽぽ好きなんて言うとらんし
そんな俺にたんぽぽを渡したいなんて思う人
この世でAちゃんしか居らん。
もう一度言う。
確証なんてない。
でも、
それでもやっぱり俺は
君がそこに居たかもしれないと言う事実に、自惚れてしまいそうや。
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#TODAY(プロフ) - みりんさん» ありがとうございます！春風のように優しくて暖かいお話になるように頑張ったのでそう言って貰えてとても嬉しいです！！ (2022年1月11日 12時) (
レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - 素敵なお話で心があったまりました♡違うお話も読ませていただきます(*^^*) (2022年1月11日 0時) (レス) @page46 id: 57a21b061a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：#TODAY | 作成日時：2021年7月30日 23時
