25,枠外者 ページ7
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※荘園の設計に関する独自要素が含まれます。
ノートンから半ば引きはがすようにして連れてこられた私は、頭に靄がかかったような表情で談話室にいた。
ただ手の中でくしゃくしゃになった茶封筒だけが、さっきのことが嘘じゃないと証明していた。
荘園の中には数室の談話室があり、男性サバイバーの私室がある階には２つあるという。ここは、その内の人が寄ってこない方らしい。
ナワーブの言う通り、荘園の庭で好き放題に生えている木々の影が濃く部屋に落ちている。
感覚的に不気味さや恐怖に侵食されている気がして、私は身体を固くした。
そんな私を無咎は怪訝そうに眺め、宥めるように黒い傘を何度も撫でていた。
目の前の長いすに腰かけたのはナワーブとイライで、イライは分かりやすくバツの悪そうな顔をしていた。ナワーブは殺気立った視線で、気持ちを押し殺すように何度もこぶしを握ったり開いたりしていた。
いたたまれない沈黙の中、私は意を決して口を開く。
私の声が響くよりも先に、ナワーブが私の頭を撫でた。突然の接触に驚きながらも、きちんと暖かくて大きな手に心の緊張が解けていく。
「なわっ、ぶさ……」
「ごめんな」
ナワーブは酷く辛そうに瞳を歪めて、そう言った。
私には何のことか分からない。
何とも言えず、目を白黒させながら彼を見つめる。
「俺たちが何を言おうと無駄だって理解してるし、アイツは謝らないと思う。お前はきっと怒るだろうし、怒って当然だ」
まったく話が見えてこない。
それでもナワーブは言葉を続ける。
「というか、怒るべきだ。でも、そうやったって辞典は何の進展も見せないんだ。それを理解したうえで……ああ、ちげぇ」
頭を乱暴にかき、ナワーブは私を三白眼で睨んだ。膝の上にのせている私の手を両手で包むと、小さく深呼吸をしたようだった。ガタガタと小刻みに彼の手が震えているのが分かる。
「A、お前は家に帰れなくなった」
ドンッと心臓を鈍器で殴られたように苦しくなって、一瞬で頭の中がパンクした。何か言うべきなのに何も言えず、怒りさえもわいてこない。
まるで感情が無くなったようで、呆然とナワーブを見返した。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
