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彼女もこんな場所じゃ気が立ってるに違いない。ゆっくり話をするためにも場所を変える必要があるだろう。
彼女の肩を抱いて立ち上がろうとすると、サベダーに特異な形のナイフを向けられた。
「おい、キャンベル。いい加減にしろ」
「……」
「Aが怖がってる。まずは離してやれ」
サベダーはAの腕を無理やり引っ張ると、彼女を自分の背の後ろに隠した。
Aは困ったように視線を彷徨わせ、眉間にしわを寄せて僕の顔を見た。
「それから言うべきことがあるだろ、キャンベル」
サベダーの言葉にAが「い、言うこと？」と呟いた。いつの間にやって来たのか、黒無常も彼女の後ろで厳しい顔をしている。
「……何のこと、サベダー」
心苦しくなってそれだけ呟けば、サベダーは鋭い目つきで僕をにらんだ。虎のような瞳に射竦められ、彼には理解できないだろうと心が冷めた。
「しらばっくれんなよ。それとも……本当に悪気があってしたんじゃないのか？記憶が無いとは言わせねぇぞ」
「サベダーには分からないよ。僕はただ怖かっただけ。それに……彼女はきっと理解してくれる」
そう言って僕はゆらりと立ち上がった。
サベダーと黒無常がその瞬間、体をこわばらせる。階段の下から様子を窺っていたクラークが心配そうな視線を寄こしている。
ここまで騒いでも誰も来ないのは、彼のおかげだろう。それだけは感謝しなければ。
Aへ近づくと、威嚇するようにサベダーがナイフを振った。
「……僕に説明させてはくれない？」
「今のお前は危険だ。俺は出来ることならお前に刃を向けたくない」
サベダーの表情に悲痛なものを読み取った僕は、ため息を吐きながら両手を上げた。
「分かった。それじゃA、また後で」
そう言って、僕はくるりと彼女に視線を向けた。
彼女は震える声で「はい」と言っただけだった。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
