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「ノートンさん、行きましょうか」
私が声をかけると、ノートンは眉間にしわを寄せてから頷いた。
「……行こっか、A」
ノートンは彼女の背を押しながら、表情を直して微笑んだ。
彼女はもう、こちら側の人間かもしれない。
ただの優しい少女じゃなくなった。そうしたのは僕の所為だ。
そう考えれば、彼女が、Aが途方もなく甘美な存在に思えてくる。
「大好きだよ、A。勿論、人として君の人となりが、ね」
穴を抜けた先は、不思議の国だった。
不思議の国へと来てしまえば、少女は少女のままではいられない。
「……Aさん、もう皆がエントランスに集まってますよ」
イライの言葉にAは頷いた。
扉へ手をかけるAの肩を、ノートンはそっと押した。
「いっしょに開けてあげるよ、A」
「……ノートンさん、今日は本当に優しいんですね」
こちらを見るAの瞳に、ケロイドのついたノートンの顔が映る。
「そうかもしれない。……だって、今日から君は僕の同居人だから」
―――「鏡の国の同居人」Fin.
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
