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揺れた茂みから真っ黒い頭が顔を出す。
出てきたのノートンだった。
「ノー、トン……さ」
妙に上ずった声が私の喉から洩れた。
「キャンベルさん、部屋で待っているようにと言いましたよね」
呆れた様子でそう言うイライに対し、ノートンは頬を赤らめながら微笑んだ。
「ごめん、ごめん。だってAが本当に来てくれるのか気になったから……」
Aは、きっとイライが適当なことを言うんじゃないかと疑ったんだろうなと分かった。
ノートンは笑みを引っ込め、優し気な表情を浮かべると、Aの方まで歩いてきた。
「……昨日はゴメン。大人として悪いことをしたと理解している」
そう言うと頭を下げた。
真っ黒い髪がバサバサと揺れ、彼は頭を持ち上げた。
黒曜石のように光を吸い込む瞳と目が合った。
「でも割ってしまった鏡はもう戻らない」
「……」
Aはこくりと頷いた。
「だから、君の鏡が戻るまでの間……僕は君の面倒を見る。勿論、変な下心なんてないよ。純粋に、ただ君のことが心配で……」
ノートンはAの顔をちらりと見ると、すぐに視線を逸らした。
「悪い言い方をすれば、僕はAを不幸にした罪悪感を負いたくない」
「……あぁ」
ノートンの過去を思えば、すぐに納得できた。
Aは頷き、問題ないと微笑んだ。
ノートンは、ほっと息を吐く。
「良かった。君なら理解してくれると思っていた。何の同情感もなく、僕の過去をタダの記号として認識しているAなら、ね」
彼は本当にうれしそうに微笑んだ。
「A、僕の部屋へ来てくれるかい？」
ノートンはそう言うと、Aの瞳を覗き込みながらニコリと笑った。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
