30,同居人 ページ18
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私はノートンの、ごわごわとした手袋に包まれた手を、そっと握った。
手の平へそっと指を滑らせれば、ギュッと引き寄せられる。
ドンッ、と彼の胸に顔を打ち付けそうになる。
その寸前、私の頬に彼の手が触れた。
「ありがとう……嬉しいよ、A」
ノートンの声に顔をあげれば、トロリと黒い瞳が滾ったような色をしていた。
恐怖のような、肌寒い何かが背筋を駆け抜けた。
この決断は、早計ではなかったか。
「……キャンベルくん、少し待ってください」
イライの声に、ノートンは私を軽々と抱き寄せた。
肺がグッと圧迫されて、呼吸の仕方が分からなくなる。まるで、何かの術にはめられたように、眩暈さえ覚えてしまう。
「なあに？イライ」
「その、何か香水をつけていませんか？」
イライの言葉に、私はスンと鼻を動かした。
ノートンからは香り高い、良い匂いがする。まるで彼に似合っていない匂いだ。
「あんまり嗅がないでよ。恥ずかしいな」
「え、あ……ごめんなさい」
ノートンはイライの方へ向き直ると、しーっと人差し指をたてた。
「クラークさん、僕は何の香水もつけてないよ。ああいうの、嫌いだから」
「……そう、ですか。あ、ノートンさん。Aさんの、鏡の件って」
イライが私の言いたかったことを口にした。
私も、それを聞きたかった。
ノートンは私の面倒を見ると言ってくれたが、どういうことなのだろうか。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
