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私はパンッと頬を軽くたたく。
箱を開く。
まず目に入ったのはこげ茶色のロングブーツだった。それをベッドの上に移動させるとスタンドカラーシャツが出てきた。
……女性もスタンドからーシャツって着るのか？
お決まりのように少し明るめの袴も入っていた。
助かった、袴なら何とか着れる。
部屋の主がいないことを良いことに、私は試行錯誤しながら見苦しくないように服を着た。あからさまな「書生」姿に、荘園のイメージにはあっているのかもなと思う。
「……Aさん、起きてます？」
「必安さん。今、準備が出来たところです」
私は慌てて扉を開け、必安を出迎えた。
彼は中へ入らず、私に廊下へ出るよう促した。
「それが主からの贈り物ですか。面白い形の着物ですね。ミチコさんの五光の衣装に似ている」
「袴、ですね。私もはじめて着ました」
気を使ってくれているのか、必安は一切、昨日の話を出してこなかった。置手紙か何かで状況は理解しているのだろう。聞きたいはずなのに聞かないのは、きっと彼にとって興味が無いからだけではないだろう。
そんなことをしてくれるとは思ってもいなかった。
「……ノートンさんに会えますかね？」
私がそう言うと、必安は聞こえなかったように先に階段を下りていった。
「……答えられないようなことなのかな」
必安が言いたくないのならば仕方ない。
それに今日を過ごせば、おのずとわかることだろう。
私はそう思いながら、階段をゆっくりと降りた。
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トバリ - 蜜月さん» お楽しみいただけたようで、何よりでした。ご縁があれば、また。 (2020年11月9日 21時) (
レス) id: e428776eb9 (このIDを非表示/違反報告)
蜜月(プロフ) - 完結おめでとうございます！更新を毎回楽しみにしていた身としては寂しいような嬉しいような気持ちで一杯です笑 作者様の書くノートン君が好きでした。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした！ (2020年11月6日 23時) (レス) id: 20a9fa7637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年10月10日 18時
