23,外なる人物 ページ49
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必安と交代し、Aの小説を読んでいた無咎は不意に顔を上げた。
目の前に設置してある大きな振り子時計は夕方の時刻を示している。
小説を読んでいるとあっという間だった。
Aが持ってきた小説は少女の話だった。電車という乗り物に乗って、少女は煩わしい日常からの逃避行を繰り返すが、結局は逃げられないというもの。きっと少女はA自身なのだろう。彼女がどれだけ日々が嫌いで、大好きなのかが伝わってくる作品だった。
無咎も必安もそこそこ本は読む。それなりの読解力はあるつもりだ。
目の前の長いすで眠っているAの頭を撫でると、花が咲くような笑顔になる。
「……ふっ」
その様子に思わず笑みをこぼせば、腕の中にあった黒傘が共鳴するように震えた。
どうやら必安も寝ているらしい。
「お前も撫でてほしいのか？……なんてな」
彼がこの場に居れば、「そんなわけないでしょう！」と目くじらを立てて怒ったに違いない。
そんな風にゆるゆると記憶に浸りかけ、いけないと目の前の少女に意識を戻す。
そろそろ彼女も家に帰らなければ困るだろう。無理に起こすのも気がひける。だとすれば、必安がしたように抱えてサバイバー館へ連れて行けばよいのだが、探鉱者はこの時間に部屋にいる。部屋にこいつがいたから元の場所へ返してやれ、と言ってもいいが必安がいらぬ恨みを買うだけだろう。
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トバリ - ミルクケーキ@ﾄｼさん» ありがとうございます。更新、頑張らせていただきますね。 (2020年10月6日 18時) (
レス) id: 1296928d7f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクケーキ@ﾄｼ(プロフ) - 好きです！更新頑張ってください！！ (2020年10月5日 18時) (レス) id: 4eab459e35 (このIDを非表示/違反報告)
トバリ - クルルさん» ありがとうございます！こちらだけでなく、短編まで！嬉しい限りです。 (2020年9月17日 22時) (レス) id: 12a0f93b04 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - 新作呼んできました！とっても面白くて・・・いつか短編集じゃなく中編として出してほしいくらい！更新頑張ってくださいね！ (2020年9月17日 21時) (レス) id: 5254ebaae5 (このIDを非表示/違反報告)
トバリ - クルルさん» 誤字報告、ありがとうございます。とても恥ずかしい間違いをしてしまいました……////。いつもご愛読、ありがとうございます。 (2020年9月13日 12時) (レス) id: 43b40f5855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年8月8日 19時
