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聞き覚えのあるの声が聞こえ、顔をそちらに向ければ相棒が声高に鳴きながら近づいていた。
ちゃんと分かっているから、そんな風に大声で鳴かなくても分かるのに。
「Aさん、こっちから行きましょう」
「は。……イライさん、そっちからは行けませんよ」
ここは彼女が生まれた場所だ。
外へ出、ましてやこの世界に初めて来た私の言うことなど聞けるはずもない。とても信じられないだろう。
そう思って苦笑いすると、彼女はこくりとうなずいた。
「分かりました。……そっちの方が静かに見えるから、イライさん案内してもらえますか？」
「おい、A。ここ泥ついてんぞ」
「ホントだ。……あ、とれた」
サベダーさん、A、キャンベル君の順で奥まった森から広い道へでる。
私が先導しながら、先ほど彼が視せてくれた閑散とした空き地を目指す。
「……A、これあげる」
後ろの方でキャンベル君がつぶやく声が聞こえ、思わずそちらを視線だけで見た。
「あ、ありがとうございます」
そこには目を白黒させながら小さな花を受け取っているAがいた。
キャンベル君らしかぬ行動だが、とても微笑ましい。
キャンベル君は表情が分かりにくいとよく言われるが、彼の感情は口元や頬を全体的に見るのではない。
瞬間的に、残像のように瞳だけに現れるのだ。
「本当はで店で良いものを買おうと思ってたんだけど、君が放してくれなかったから」
「え……。なんかすみません」
……最後の言葉が照れ隠しではないと分かるから、微妙なきぶんにさせられる。
私は二人の仲を取り持つように声をかけた。
「あ、ああ！Aさん、好きな食べ物などはありますか？私がなにか買ってあげますよ」
「A、俺も買ってやるから遠慮なく言えよ。荘園の主人がこっちで使える金もくれたんだ」
彼女は何かに納得したように、キラキラとした微笑みを浮かべた。
「なるほど！だから守銭奴のノートンさんが太っ腹だったんですね！」
後ろでそれを聞いていたキャンベル君は、居心地悪そうに、一瞬だけ顔をしかめた。
だけど、彼女があんまり楽しそうに笑うからついつられて笑っていた。
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トバリ - ミルクケーキ@ﾄｼさん» ありがとうございます。更新、頑張らせていただきますね。 (2020年10月6日 18時) (
レス) id: 1296928d7f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクケーキ@ﾄｼ(プロフ) - 好きです！更新頑張ってください！！ (2020年10月5日 18時) (レス) id: 4eab459e35 (このIDを非表示/違反報告)
トバリ - クルルさん» ありがとうございます！こちらだけでなく、短編まで！嬉しい限りです。 (2020年9月17日 22時) (レス) id: 12a0f93b04 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - 新作呼んできました！とっても面白くて・・・いつか短編集じゃなく中編として出してほしいくらい！更新頑張ってくださいね！ (2020年9月17日 21時) (レス) id: 5254ebaae5 (このIDを非表示/違反報告)
トバリ - クルルさん» 誤字報告、ありがとうございます。とても恥ずかしい間違いをしてしまいました……////。いつもご愛読、ありがとうございます。 (2020年9月13日 12時) (レス) id: 43b40f5855 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：トバリ | 作成日時：2020年8月8日 19時
