説教モード ページ40
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「ただいまー」
『おかえり』
廊下の扉を開けると、そこには荷物を持った剛典が居て。
地方の撮影から帰ってきた。
『どうだった?』
「うん、おかげで楽になったよ。
助けてくれてありがとう」
私は微笑むと、彼も微笑んでくれて、二人でリビングに入る。
彼は今日明日休みで、明後日はまた地方に行くらしい。
「はぁ、早く会いたい」
『もう少しだよ』
「うん」
そう言ってる間にもお腹の中で、子供が動いた。
下の方だったから肘かな?
「元気に産まれてこいよ」
『……ふふっ』
いつも私のお腹におでこを当てて、願う。
きっと私よりも楽しみにしてるのは彼だと思う。
『で、洗濯物は?』
「出します」
ただ野放しにしておくと、元の生活が出てしまうので、
心を鬼にして厳しくします。
「回した方がいい?」
『置いてていいよ、後で私やるから』
「じゃあ今回すね」
彼も一人暮らしを経験してるので、その辺は心配してない。
ただ、たま〜に柔軟剤を間違えることくらい。
成分で分けてるのに。
「ってか待って、また洗剤のストックあるじゃん」
『あ』
「俺言ったじゃん、これ以上買っても置くスペース無いよって。
買わなくても四ヶ月は軽く持つ量だよって前に言ったよね」
『あは』
「話聞けよ。
しかもティッシュとかも増えてるよね?」
そう言いながら収納庫を見ると、案の定増えてるストック。
安かったから今が買い時かなって買ってただけなんだけど。
「ねぇA、これ箱じゃなくてセットが三十個あるのさ今。
数おかしいよね」
『安かったもん』
「安かったじゃなくてさ、この荷物どうやってここまで運んだ?
俺が向こう行ってる間に増えてるよねこれ。
今からが一番大事な時期で、重たいものも持たないで言われてるよね?」
説教モードに入った彼はとにかく長い。
そのスイッチ入れたの私だけど。
「A、話聞いてる?」
『聞いてます、すみません』
「買ったものはしょうがないけどさ」
剛典はそう言いながら収納庫の片付けを始める。
何でも、私が取りやすいようにって彼が考えてくれてる。
「色んなの買いすぎでしょ……。
ストック溜まりまくりじゃん、どうすんのこれ……」
『減るもんじゃないし』
「いや、まぁこれからの生活考えると良いのかもだけど」
納得いってないけど納得しようと努力する彼でした。
すみません、ははっ。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年7月4日 0時