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Takanori.I
俺らは見られる仕事だから、堪えてた。
だけど、たった一人の人を愛するって、家族を守るって
Aに誓ったその時から、異性の目が気持ち悪くなった。
普通に話す分には良いんだけど、好意の目が受け付けない。
けど仕事は仕事だ。
兎に角気分を紛らわせたくてAに電話をしたら、
安心からか色んなことが口に出ちゃって、
そしたらAとマネージャーが話してるのを見守る。
岩マネ「……はい、………はい」
岩田「…………」
俺はタオルを頭に被って、ドリンクを持って終わるのを待ってた。
今は俺のシーンじゃないから、俺らは現場から離れた場所で話してた。
こうやって待つこと何分かな。
岩マネ「奥さんが代わってって」
岩田「はい」
【もう大丈夫だよ、剛典。
頑張ったね】
岩田「……ありがとう」
【うん】
俺が電話してると、マネージャーは話をするためにここを離れてた。
多分、空気を読んだんだろう。
【剛典、辛いって言葉にしてくれて嬉しかったよ】
岩田「ん……」
【後で登坂さんに言おっかな】
岩田「なんでだよ」
【片岡さんでもいっかな】
岩田「なんでだって」
【現場でじっくり見てあげてください〜!って】
岩田「いいよ別に」
【ふっ、頑張ってね】
岩田「うん」
後四日。
この四日を乗り切れば、Aと過ごせる。
俺らは電話を切ると、タイミング良くマネージャーが入ってきた。
岩マネ「向こうに説明して、ホテル変えてもらったし、移動も別。
安心していいからね」
岩田「ありがとうございます」
肩の力を抜いた俺に、マネージャーが空を見ながら笑う。
その雰囲気に俺が首を傾げると、マネージャーが口を開く。
岩マネ「世帯を持つと、強くも弱くもなる。
けど、今の方が自分は好きだって思ったよ」
岩田「……はい?」
岩マネ「誰彼構わず喰わなくなったし」
岩田「言い方」
岩マネ「人間っぽくなったなって思った」
その言葉に俺は動きを止めた。
ずっと俺だって思ってた。
岩田「ははっ」
岩マネ「ちゃんと嫌だって口に出来るようになっただけマシか」
岩田「Aが、いつも俺を叱ってくれるからかな」
岩マネ「夫婦ってそんなもんそんなもん」
俺らは笑い合うと、そろそろ現場に戻ろうってなって立ち上がる。
Aからメッセージが届いてた。
それを見て、俺は笑うとここに来た時より足が軽かった。
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作者名:雪乃 | 作成日時:2023年7月4日 0時