二人が大好きで ページ23
Takanori.I
食べ悪阻とかもあるから食事が取れないA。
だから休憩時間はAは姿を消す。
そうしなければ、苦しくなる一方だ。
登坂「坂本は？」
岩田「……そういう事っすね」
登坂「そっか」
俺らは男だから、どんなに分かってあげたくても分かってあげられない。
俺は御手洗の前でAを待ってた。
流石に女子トイレに入れないから、Aが来るのを待つしかなくて。
臣さんも用を済ませると、戻るのかな〜って思ってたら、隣に立った。
登坂「お前らはさ、自己完結型じゃん。
どっちも勉強できるから」
黙ったままかと思ったら、臣さんが話し始めた。
俺は黙ってそれを聞く。
登坂「坂本はさ、家庭環境も良くないし頼れる家族が居ない。
そしたら岩ちゃんにあれこれ来るじゃん」
岩田「あれこれって……」
登坂「まぁ、坂本が甘えられる存在ってやつ？」
岩田「……っすね」
登坂「岩ちゃんが俺らの弟ってことはさ、その家族のあいつも妹なわけよ」
岩田「はい……」
登坂「だから、これから先、二人で乗り越えるのもいいけど。
俺らはいつでも、どんな時でも、隣に居るから」
岩田「…………」
俺はその言葉を聞いて臣さんに目を向けた。
臣さんは俺の頭を撫でる。
登坂「岩ちゃん、坂本のことを守れるのは岩ちゃんしか居ない。
けど、それ以外のことは俺らでもできるから。
いつでも頼りなね」
岩田「……はい」
掠れた震えた声になってしまった。
けど臣さんは、優しく微笑んだまま、御手洗から出てきたAに気付く。
『あれ、お取り込み中？』
岩田「いや、……」
登坂「なぁ、坂本」
『はい？』
登坂「岩ちゃんの隣に並べよ」
Aは言われた通りに並ぶ。首を傾げてるけど。
俺もよく分からなくて、臣さんを見つめてると、臣さんは笑った。
そして、笑ったかと思えば、俺らは揃って抱きしめられてて。
登坂「辛い時は、こうやって俺らが抱きしめてやるから。
兄貴は沢山いっからさ」
『何、そんな暗い雰囲気だったの？』
登坂「いや、俺はお前ら二人が大好きだって感極まっただけだよ」
岩田「ふっ……どういうことですかそれ」
意外な臣さんの一面に、俺とAは笑って臣さんの背中に手を回した。
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しばらく三人で御手洗前で抱きしめ合ってると、玲於に写真撮られた。
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作者名：雪乃 | 作成日時：2023年7月4日 0時
