八十六の巻 わっちと別れ ページ49
文花「ねえキュウビ、Aはまだ会えないのかな？せめてお見舞いには行きたいんだけど…」
キュウビ「…そうさせてあげたいんだけどね、残念ながら彼女は自室に結界を張っていて誰も入れない状態なんだ。だから今行っても、無駄になると思う」
文花「…そう、なんだ。わかった、ごめんねキュウビ、無理言っちゃって！じゃ、私学校あるから、後でね！！」
キュウビ「ええ、どうか気をつけて。…はあ、」
彼女がこっちに来なくなっておよそ半月。どうやら彼女は重い風邪をこじらせたらしく、最近彼女の姿を見たものは誰もいない。
…ここのところ退屈で仕方ない。
オロチは会えないと分かっていながら毎日彼女のためにご飯を作りに行ったり、屋敷の掃除をしに行くし、あの大将2人もAがいないせいで最近じゃ人が変わったみたいに大人しいし…
…それにあの犬神だって、最近僕に全然突っかかってこないでどこか上の空だし…
キュウビ「(…あー、もう！どいつもこいつもAに影響されすぎだろ！どいつもこいつもA、A、Aって……！！もう、堪忍袋の緒が切れましたよ！)」
こうなったら明日にでもAの屋敷に乗り込んで、是が非でも部屋から連れ出してやる！！
結界？ええ上等ですよ。こっちだって伊達に九尾の狐として生きてる訳じゃないんだ！
絶っっっ対にこっちに無理にでも引きづり出してやる！！
キュウビ「…だから早く、戻ってきてくださいよ。」
貴女がいてくれさえすれば、やっと皆がいつも通りに戻れるんです。
…早く皆で馬鹿騒ぎ出来るあの場所に、戻して下さいよ……
ーーーーーーーーーーー
文花「すぅー、すぅー…」
ウィスパー「ゲロゲロゲロ…ピィー……」
ジバニャン「にゃあー…にゃあー……」
ヒュゥウウウーー…………
「……文花…」
夜風と共に、音もなく部屋に降り立った黒い影。
部屋の主である少女の名を呼ぶが、夢の中にきる少女にその声は聞こえる筈はなく、すぐに目を逸らした影が手を伸ばす。
その手の先は、彼女の妖怪辞典。
「…許せ文花。こうするしか、もう他に方法はないのじゃ…」
辞典から目当てのものを抜き取ると、今度は彼女にその手を伸ばすが、…途中でそれは空中で止まり、やがてだらりと下ろされた。
「…さようなら、文花……」
別れの言葉を告げた途端、月が影を照らし出し、その輪郭をあらわにする。
……綺麗なその真紅の瞳から、一滴の雫がキラリと光った。
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吹雪@元百鬼蘭.° - おおっ!後編ですか…!!楽しみに待ってます!(^^* (2015年10月28日 0時) (
レス) id: 4ea06a141b (このIDを非表示/違反報告)
ドS王子LOVE - 夢主かっこいいです！オロチとか超かわいい！更新頑張ってくださいね！ (2015年10月11日 12時) (レス) id: 52660d2b3d (このIDを非表示/違反報告)
加州 - 最新頑張ってください...楽しみにしてます(にっこり (2015年10月9日 23時) (レス) id: 000de04641 (このIDを非表示/違反報告)
百鬼蘭.° - おぉ！一人称がここの夢主さんと同じだ！！嬉しいぞ！(^^* (2015年10月6日 22時) (レス) id: 4ea06a141b (このIDを非表示/違反報告)
くぅさん - 犬神は...犬神はは一体黒狐のなんなんだｧｧ！！更新楽しみに待っています！ (2015年10月4日 2時) (レス) id: 09a2c937ed (このIDを非表示/違反報告)
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