検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:14,697 hit

第63訓 昔の俺は… ページ15

勉強はコツさえ分かっちまえばテストで満点は当たり前。スポーツもちょっとやればすぐに上達して、誰も相手にならなくなる。


俺の人生において、『障害』という言葉は無縁だった。


周りからの羨望と嫉妬の眼差しは半端じゃなかったが、俺はそんなもんどうでも良かったし、むしろ俺からしたら自分より劣る連中の方が、よっぽど羨ましくてならなかった。


だってそうだろ?何もかも上手くいく人生なんて、退屈以外の何者でもない。何かに熱心に打ち込むことも、努力することもなく全てを手にできる。


……ハッキリ言って、俺の人生は生きる意味も価値もない、バグだらけのイージーゲームのようなものだった。


だが中学に入り、初めてサッカーを始めた時…俺の人生は全てひっくり返った。


そこのサッカー部のキャプテン…昨日来てたガチムキな男がいただろ?俺はあいつにサッカーでボロ負けしたんだ。


圧倒的な実力差だった。俺はそこで、初めて悔しいという感情が心の中で芽生え、そして同時に、嬉しさもこみ上げてきたんだ。


ようやく、自分の欲しかった物が手に入ったんだ……ってな。


ーーーーーーーーーーーー


龍崎「今の俺があるのは、サッカーとの出会いがあったからだ。もしあの時、サッカーに出会えなかったら…俺は本当にどうにかなってたと思う。」


雅野「…その話と俺に何の関係があるんだ?」


龍崎「まあ要するによ、ぶち当たる壁もなかった俺に比べて、ぶち当たった壁を超えるために努力するお前の方が、よっぽど恵まれてて羨ましかったってことだよ」


雅野「!!」


龍崎「“人を真に幸福にするものは、何か我を忘れて取り組める事柄を持つことである”…誰の名言かは忘れたけど、本当にその通りだと思うんだ。あの頃より…俺は今の方がよっぽど幸せだしよ」


そう言いながら雅野に笑いかける龍崎の表情は……とても幸せそうだった。


龍崎「明日の試合、仕事があるから見に行けねーけど、雅野なら大丈夫だ。俺の特訓についてこれたし、今日まで死ぬ程努力したんだ。…なんも不安がる必要はねえよ」


雅野「……ふん、言われなくても分かってるさ」



先ほどの自信なさ気な声音から一変して、生意気な口調に戻った雅野の表情は、どこか自信にあふれていたことを、龍崎は静かに感じ取ったのだった……。

第64訓 男は度胸と根性と、→←第62訓 時間はないぜ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , イナゴ , 混合
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅雅華咲 - 凄く面白かったです!面白すぎて、何回も読みなおしちゃうくらいハマりました! (2018年8月3日 23時) (レス) id: d91252218e (このIDを非表示/違反報告)
ジャンガラ - これマジサイコーwww ホントに笑いが止まらないwww (2015年5月15日 18時) (レス) id: 938b3adc10 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーゆ - これ、すっごくおもしろいです!! (2015年3月25日 12時) (レス) id: 938b3adc10 (このIDを非表示/違反報告)
莉緒@精神的にないわ(プロフ) - あの、パート1から気になってたんですけど猿飛は? (2014年12月3日 20時) (レス) id: 9cc8c1c344 (このIDを非表示/違反報告)
狩屋渚(プロフ) - 珍回答ワロタwwwwwwwwww (2014年11月24日 0時) (レス) id: 00c49cb079 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2014年8月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。