いつか海の見える部屋で 三 ページ21
『失礼します』
中「ん?ああAじゃねェか。そういえば昇任おめでとさん」
『……あ、ああ。ありがとう』
中「忘れてたのかよ」
そう言いながら笑う中也くん
『これ、薬』
そう言って渡せば受け取って嫌そうな顔をする
中「んで?なんか悩んでんのか?」
『え、なんで判ったの』
中「そりゃ手前……悩んでたら口数減るからな」
そう言われて溜息をつく
どれだけ僕は判りやすいのだろうか
『こんなんじゃダメだな……』
中「……もしかして首領補佐になったプレッシャーか?」
『……なのかな?判らない』
ほら、また判らない
なんでこんなに無知なのに補佐なんだ
『僕でいいのかな?』
そう言えば中也くんは椅子から立ち上がって僕をソファーに誘導する
中「……太宰には言うなって言われたが、嫌がらせに言うだけだ」
そう言われて視線をあげる
中「俺は前に、お前は如何してAにそんな風に当たるんだ?なんで急にって聞いたんだ。そしたらアイツなんて言ったと思う」
『……?』
首をかしげると
中「あの子の為になるからって」
『僕の……為?』
中「そ、彼奴はAが自分が辛く当たって凹むような奴なわけないって言ってた」
『……?つまり?』
中「つまり、手前を認めてて、手前を強くする為に辛くあたってるつもりなんじゃねぇの?」
そう言って珈琲を僕の前に出した
『……よく、判らない。なんで直接言わないの?』
中「彼奴は変だからな」
『矢っ張り、よく判らない』
中「……で?他にもあるんだろ」
そう言われて頷く
『最近夢を見るんだ。何時ものバーで飲んでたら全員が順番に出て行くんだ。坂口さん、織田作さん、治くんの順に。僕が何回も名前を呼んでも、「また此処で飲めますか?」、「元気でな」、「……大嫌いだよ」って絶対に言う夢。そしたら……坂口さんが』
中「教授眼鏡が、裏切った」
『だから、もし正夢だったら怖くって』
そういえば中也くんは僕の正面のソファーに座った
中「なんでそれを太宰とかに言わねェんだ」
『なんだか怖くて。それと、先刻織田作さんの引き取ってる子供達と寝てたら、子供達が泣く声の後爆発音が聞こえる夢まで見た。もし、もしこれが本当だったらって思うと織田作さんにも言えない』
中「だから消去法で俺か……大丈夫と言える根拠もねェし俺は太宰みたいに口達者な訳ではないからなんも言えねぇ、けど、それを手前が心得ながら行動すればいいんじゃねぇの」
そう言われ頷く
『そうする』
そう言って松葉杖を手に持つ
『ありがとう』
中「ああ」
そう言って部屋を出た
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リュカ(プロフ) - 麗華三日月さん» 行ってらっしゃい!待ってますよ〜なんだか太宰さん達と一緒に行ってるみたいですね〜「今日は太宰がいないから仕事が進む」「国木田さん……言い過ぎです」探偵社はいつもより仕事が進んでますね〜 (2019年5月9日 14時) (レス) id: 23cb7545a0 (このIDを非表示/違反報告)
麗華三日月 - これから行ってきます。帰ってきたら又お話して下さい!「リュカちゃん、ちょっと待っててあげてくれるかい?」「リュカ、頼むな。お前も無理すんなよ。」それでは! (2019年5月9日 4時) (レス) id: c945dd784b (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 麗華三日月さん» おお〜奈良が一緒ですね〜ええだいぶん進んできました!回想が結構考えてたんですよ。黒の時代が終わった後と一期の主人公って雰囲気が一寸違うのでその理由……って感じの回想です! (2019年5月8日 21時) (レス) id: 23cb7545a0 (このIDを非表示/違反報告)
麗華三日月 - 私は奈良、京都、大阪です!お話大分進んできましたね…姐さん、中也…あと、回想が何とも…続き楽しみだなぁ〜 (2019年5月8日 21時) (レス) id: c945dd784b (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 麗華三日月さん» いえいえ〜私は東大寺に行きますよ〜奈良です!セイレーンさんはどちらへ? (2019年5月8日 17時) (レス) id: 23cb7545a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リュカ | 作成日時:2019年5月1日 20時