純情直球勝負 《 Hidaka.U 》

Twentieth Attack ページ21

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Side of Hidaka





Aちゃんが周りの女の子に


何かされてるなんて知らなかった。


たまたま通りかかった廊下で


彼女が叩かれようとしているのを見て


咄嗟に身体が動いてて。




『俺の好きな人は…Aちゃんじゃ…ないよ』




苦しすぎる嘘だった。


でも、そうしない他に


彼女を守れる方法が見つからなかった。


なんとなくそれから気まづくて


余計に話さなくなって


毎日毎日話しかけてた努力も


全部水の泡になっちゃって。




『龍我〜……………』


龍『何〜』


『時間が経ったら忘れられるかな』


龍『…………そうだね、』


『龍我』


龍『………………うん？』


『痛いね』


龍『……………うん、』





何か言うわけでもない龍我だけど


この堂々巡りな会話を


嫌な顔一つしないで聞いてくれるから


ちょっと楽になる。


体育の時間、男女で同じグラウンドにいるからって


暇な時間があれば無意識に探してる


Aちゃんの姿。


どんなに似てる後ろ姿の人がいたって


人の中に埋もれてたって


彼女だけは見つけられるから、逆に怖い。




" Aちゃん！？ "




自分が走り終わった後に


向こうから聞こえてきた言葉に


咄嗟に振り向くと


女子がざわついてる。





龍『ねぇ、浮所…あれ、


倒れてるのAちゃんじゃない？』


『え、…？』




確認より先に動いていた身体。


そのまま彼女を抱き上げて保健室へ向かう。




《 軽い熱中症ね、…今日暑かったから 》


『そ、う…ですか』



保健室の先生にそう言われてちょっと安心。


一瞬ほんとに、焦ったから。


先生が席を外すらしく、もうすぐ体育も終わるし


そのまま暫く彼女を見ておくように頼まれた。


カーテンを引いて、中に入ると


眠っている彼女。


触れたい、なんて思っちゃだめだ。







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