【男性声優】シェアハウスの雨宿り。IV

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四つともチョコレートをしっかりと塗り終え、冷蔵庫に入れる。

相変わらずだが、この家のキッチンの数々は色々とでかい。

小さいとはいえ、スポンジ四つを一気に焼けるオーブンなど中々ない。


｢ふぅ。｣と仕事を終えて、一息つく。

最近休み続きだったから、仕事ばかりのハードスケジュールに体がなかなか追いつかない。

ぼふっ…とソファに座って、｢あー…疲れた……｣と頭を上に向けて項垂れた。

すると、ヒョコッと入野の顔が一気に視界を塞ぐ。



入｢スパイダーマンキスって知ってる？｣

｢…知ってますけど。｣

入｢していい？｣

｢ダメです。｣

入｢えーケチー。｣

｢ケチくない！普通！｣

入｢んじゃお願い期間って言ったらしていい？｣

｢いやダメですよ。私がファンに刺されるし、神谷さんの目見てください。｣

岡｢うん速やかに離れることを推奨するよ自由くん。｣

入｢……わぁほんと…こわーい……。｣

増｢あはは。｣



増田の冷ややかな笑顔が怖い。

この中じゃ結構後輩な方なのに、それでも逆らえない笑顔が余計に怖い。


そう言えば、もう何年もキスなんてしてない。

キスどころか、色恋沙汰に全く目を向けていない。

気づけば自分も30手前。
そろそろ婚活を考えないと、自分の結婚すら怪しくなってくる。


確かに仕事に人生をかけるとは決めたが、結婚しないとは言っていない。

…もし、もしだ。

もし、自分が結婚するんだったら、きっとこの人達、つまりは人気声優のようなあまり家に居ない人の方がいいのだろう。

そして、









｢…私、結婚するなら声優さんがいいなぁ……。｣


増｢え、ちょっ…それはっ…どういう意味でっ…？！！｣


｢あんまり家に居ないとか、色んな条件で…。｣


代｢期待した俊樹くんが可哀想に一票。｣


岡｢右に同じく。｣





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