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(もえ)さんはいなくなった。髪の一房、装束の一切れすらも残さず、火群命(ほむらのみこと)様の口の中へと収まっていったのだ。私と阿月(あづき)様は、それをずっと眺めていた。

「馳走であった」

「ありがとうございます、火群命(ほむらのみこと)様〜」

 阿月(あづき)様は笑って、そして私の手を引いて部屋を出た。襖を閉める瞬間私は振り向いたけれど、やっぱりそこに(もえ)さんはいなかった。ああ、(もえ)さんは尊くなってしまったのだ。食べるをされてしまったのだ。

 私はやっぱり……分からなかった。尊くなるって何なんだろう。

 尊くなって、何の意味があるの?

 食べるをされて、バラバラに千切れて、口の中へと入っていく事が、そんなに良い事だというのだろうか。

 私の疑念を感じ取ったのだろうか。先を歩く阿月(あづき)様が振り向いた。その顔には、笑みが浮かんでいる。いつもと変わらないニヤニヤ笑い。何がおかしいのかと前までは思っていたけど、最近気付いた。阿月(あづき)様はずっと笑っている。そこには何の感情もないのだと。

開耶(さくや)

「はい、阿月(あづき)様」

火群命(ほむらのみこと)様と世斃悪(ぜべいあ)様を見てぇ、どう思った〜?」

 火群命(ほむらのみこと)様。世斃悪(ぜべいあ)様。私は歩みを止めて考える。あの方は、あの方達は……。

「ああ、本音で言って良いわよぉ。別に、告げ口の趣味なんてないし」

「……。世斃悪(ぜべいあ)様は、少し苦手かもしれません。あの人は、まるで玩具みたいにたまうさを千切って遊んでましたから。それに……怖いです」

「確かにねぇ。あの方は尊い方であるけれど、それ以前に獣だから」

「獣?」

 阿月(あづき)様は聞き慣れない言葉を呟いた。獣とは……何なんだろう。

「獣っていうのはね、理性の希薄な愚かな者共よ。本来であれば尊いとはとても言えない、畜生共。……けれど世斃悪(ぜべいあ)様は神の御使いでもあるの」

「神の御使い……神官ですか?」

「神官よりももっと神に近いけど……まあ、そんなもんよぉ」

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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