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「ほら」

 小声で言われて、はっとする。私は慌ててたまうさの乗った膳を世斃悪(ぜべいあ)様に差し出した。皿に乗せられたたまうさは能天気に笑っている。

 世斃悪(ぜべいあ)様はたまうさをその四本の腕で持ち上げた。たまうさは楽しそうにたまたま鳴いている。

 世斃悪(ぜべいあ)様もそれにつられてか、にたぁと唇の端をおかしいくらいに吊り上げた。

「可愛いわね。じゃあ、いただきまーす」

 次の瞬間、たまうさの丸い身体が欠けた。世斃悪(ぜべいあ)様の口の中に……たまうさの欠けた部分が見える。ぐちゃぐちゃと、世斃悪(ぜべいあ)様の口から音が響く。

 たまうさは何が起こったのか分からなかったみたいだった。ただ笑顔でたまたま鳴いているだけだ。

 ぐちゃ、ぐちゃ。たまうさが世斃悪(ぜべいあ)様の口で千切られていく。あっという間にたまうさはばらばらになって、世斃悪(ぜべいあ)様の口の中に収まった。

 私はわけが分からなくて、何も言えなかった。あれは、何をしているんだろう?たまうさはどうなるんだろう。どうなったんだろう。だって、知らないのだ。あんな風にばらばらになったら、どうなるのかなんて。

「ご馳走様。甘くて美味しいわねぇ、これ」

「ありがとうございます、世斃悪(ぜべいあ)様」

 世斃悪(ぜべいあ)様はけらけら笑っている。世斃悪(ぜべいあ)様に礼を言った阿月(あづき)様も笑っていた。

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ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (2022年6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (2022年6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

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