検索窓
今日:3 hit、昨日:3 hit、合計:2,389 hit

12 ページ14

それからしばらくの記憶はない。私はいつの間にか自分と(もえ)さんに与えられたあの部屋にいた。

(もえ)さん」

「何でして?」

世斃悪(ぜべいあ)様は何をしていたんですか?」

 (もえ)さんは目を細めた。その顔からは……何の感情も見て取る事ができなかった。(もえ)さんの顔には何の感情もなかった。

「食べるをしていましたのよ」

「食べる?」

 食べる、というのはどういう事なんだろうか。よく分からなくて首を傾げると、(もえ)さんは説明をしてくれた。

 尊い方々は、食べるという行為をするらしい。食べるをして、食べるをした相手と同化するのだと。

 尊い方々に食べるをしてもらうと、尊い方々と一つになる。尊い方々と同じになって、だからこそ尊くなるのだと。

「食べるをしてもらって、尊くなるんですの」

 (もえ)さんはそう言った。

「じゃあ……(もえ)さんも、私も、食べるをされるんですか?」

「ええ、そうですの!素晴らしい事でしょう?わたくし、とても楽しみで……」

 (もえ)さんはうっとりとしている。尊くなりたい……尊い方々に食べるをされたいらしかった。

 私は分からなくなった。食べるがどういうものなのかよく分からなかったし……食べるをされるのが、少し怖く感じた。あのたまうさみたいに、細かく千切られていくのは嫌だ。

 私がそんな事を考えているうちに、(もえ)さんは上機嫌に鼻歌を歌った。

「ああ……わたくしももうすぐ、もうすぐに……」

13→←11



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 6.4/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミクミキ(プロフ) - ぱるむのお部屋さん» ありがとうございます!励みになります (2022年6月30日 21時) (レス) id: bce403cc8a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるむのお部屋(プロフ) - たまうさかわいい〜イラストもとてもかわいくて素敵ですね!これからも頑張ってください! (2022年6月30日 20時) (レス) id: 0955046302 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ミクミキ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2022年6月27日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。