-新たな感情を手に入れた ページ23
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頬に生ぬるいものが伝っていくのがわかる
驚き、手で頬を触ればそれは涙だった
男のくせに、泣いてしまった
しかし…仕方ないだろ?
A様が俺にかけた言葉があまりにも温かかった
じんわりと心に温度が宿る
ああ、何だか母親を思い出す
そんなことを考えていればA様が座っている俺の前まで来て俺を抱きしめた
抱きしめた…?
遅れて状況把握をした俺はがちんと体を固まらせた
この人は獄卒の中で二番目に偉い方である
そんな方に俺は抱きしめられているのか!?
「え、え!?A、様…何を…っ」
焦りの中に照れもある。
慌てる俺を無視しA様はふふふっと笑う
『…泣いているのですね。何だか安心しました。貴方が泣けるような関係になっているのに感動して思わず抱きしめてしまいましたよ』
抱きしめたままA様は俺の背中をぽんぽんと叩き、そんなことを言う
「…っ…お見苦しいところを」
『良いんですよ。もっともっと感情を出してくれた方が私も安心しますから。先程も言ったとおりもう少し甘えてくださいね。さあ、ご飯も冷めてしまいましたから温め直しましょうか』
俺の頭を撫でたあと、冷めてしまった夕飯を温め直すためにA様は台所へ行ってしまった
俺はと言うと久しぶり涙を流したため何だか脱力してしまった
甘えてください
なんて、A様の口から飛び出るなんて思ってもみなかった
A様が俺に向ける目線は何だか優しい
まるで母親が子を見るような目だ
暖かくて、なんて居心地がいいのだろう
時には厳しく、時には甘く
飴と鞭の使い方がとても上手いんだ、俺の師範は
なんだろうかこの胸いっぱいの気持ちは…
そう、こんな気持ちを表すに等しい言葉がひとつあった気がする
ああ、そうだ、きっとこんな言葉だ
「…尊い…」
Aの気持ちは錆兎に痛いほど伝わっていた
それはもう充分すぎるほどに…否、むしろ方向がおかしいような気がするがいい方に考えよう
「…A様に近づく輩は鬼だろうが人だろうが俺が一掃する。そう、汚い手で触れさせてたまるか。俺のA様が汚されてしまう」
▽この日を境に錆兎はAへの崇拝度がレベルアップした
「…ううん、何だか新たな箱を開けてしまいましたかね…まあ、良しとしましょう」
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Laf;(プロフ) - 何というかもう…この作品に出会えてよかったです😭神作をありがとうございます… (2月18日 23時) (レス) id: 46457ca4f3 (このIDを非表示/違反報告)
れい - え、好き。ありがとう…(遺言) (2023年5月6日 8時) (レス) id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
Nami - これ、鬼灯が錆兎に密かに嫉妬してたりとかだと面白いかも…♪ (2023年4月22日 17時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
Nami - これ、いつか転生が決まるのかな…その時錆兎はどうするのか…夢主とともに転生してキメツ学園につながるパターンとか?離れなさそうだし(笑) (2023年3月21日 15時) (レス) id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
Nami - 面白かったです♪続き待ってます!柱たちとの絡み見たいな…。 (2023年3月20日 9時) (レス) @page27 id: 7f8b02d024 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:うる。 | 作成日時:2019年9月11日 14時