【npl】鉢合わせ【8】 (ページ28)

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トイレから戻れば何故か俺のどこが好きか、で盛り上がっていた。

案の定Aは言いかけてたので止めに入る。

なあに、ただの独占。欲だよ欲。

彼女をずぼらな俺の隣に座らせ、俺はキーを差し込んでハンドルを握る。

貴方「 … 言っちゃダメだった？ごめんね。」

八野「俺が独り占めしたいだけだから。ね、教えてよ。俺の好きな所。… 俺とお前だけの秘密ってことで。」

Aは困ったように眉を下げてええ… と漏らす。これで手が好きとか言われたらどうしよう。そこ？と素直に思う。…ほら、フェチ的な。まあいいや。

貴方「前も言いましたけど、その、助けてくれたじゃないですか、高校時代… 」

八野「あ、ああ … ね。」

彼女の中では嬉しい出来事なんだろうけど、俺は人前で大怪我をした恥ずかしい記憶の1部があるから素直に喜べない。

貴方「他にもあるんですけど … 纏めて言うと、すぐ駆け寄ってくれる所かな？無難に優しいとかも。… あはは、なんか恥ずかしいからもうやめますね。」

八野「ええ？まだあるの？そんな魅力の詰まった人間じゃないんだけど。」

薄らビルや木の隙間から俺の住む家がチラついて見える頃、全く聞き足りず家に着きたくない気持ちが高まる。着いたら金輪際言わなさそうだし。

貴方「甘えん坊さんなところ」

八野「 … … その言い方は嫌味あるだろお前」

貴方「んへへ」

悪戯っぽく笑う彼女に何度胸元をくすぐられた感情になったことか。

話していればあっという間に家に着いていて、去り際の挨拶でもしようかと口を開いた。

… 待てよ、明日は休みじゃないか？

車から降り、桜吹雪を背景に映る彼女も同じ事を考えていたのか、手帳を開きだしあっと声を漏らす。

貴方「 … 私が考えてること、ヒント休日。」

八野「んだよそれ。… ね、どっちの家がいい？」

貴方「お邪魔させてもらいます」