【npl】鉢合わせ【8】 (ページ22)

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八野「名前で呼びたい … 」

私はもっと複雑な悩みや質問やらが飛んでくるのかと思いきや、そんなこと尋ねなくてもいいのに。

私「ぜひ呼んで欲しいです」

よかったあ … と安堵の声を漏らし、私をそっと解放する。

八野「 … … っ、A … … 、あ、結構恥ずいな … 」

私「ええ？私まで恥ずかしくなるじゃないですか！」

体の内部から一気に顔まで熱が伝わり、オーバーヒートを起こしてしまいそうな勢い。

八野「あ、あと敬語やめよ。なんか、寂しいじゃない … 距離感感じるし。」

本来ならいや先輩なんでそうはいきませんよ！と貫いていたかも知れないけど、今はそんな堅苦しい関係じゃない。

私「や、やめま、やめるね。あ、でも無意識に言っても怒らないで、ね。」

八野「怒らねえわッ。 … ああ、マジで幸せだあ … 職場も同じで家も近くて … 遂には彼女になってくれて … 」

私「泣くの？泣くの？」

八野「泣かねえわ！」

私「冗談です」

私は再び先輩の隣で座り直し、はっちはグイッと麦酒を一口飲む。

缶を置けば、私の頬に手を添え、

八野「絶対幸せにするね」

人生で一度は言われたかったセリフランキングトップ3に入ってるやつをこんなすんなりと言われてしまった。

熟した林檎のように、或いは甘いさくらんぼのように、赤く熱を帯びて頬を染める。

めちゃくちゃ恥ずかしい。

うんともすんとも言う間もなく、彼は甘ったるい場でファーストを奪う。

ほんのり感じる酒の苦味。彼の細く骨張った血管の浮き出てる手から伝わる温かさ。

酒を二杯飲むよりも直ぐに酔ってしまいそう。