Mine ページ47
ペンギンショーは終わり、館内を一周し終わったところで水族館を出る。
肌寒い風が頬を撫で、彼女は無意識なのか、握っている手を少し強め、にひひとはにかむように笑った。
外に出て数歩歩くと、彼女はくしゅんと小さく身震いしながらくしゃみを一つ。
風邪をひかせてはいけない、と自身のコートを脱ぎ、彼女の肩にかける。
私「 え、あ、はっちも寒いんじゃ … 」
八野「 車までそう遠くないし、気にしなくていいよ 」
肩にかかったコートを落とさないよう両手で抑え、あったかい… と口元を綻ばせて呟いた。
風から逃げる様に車に入り込み、鍵を回してエンジンをかけ、目的地を目指してアクセルを踏んだ。
………………
………
…
私「 わあ!綺麗! 」
それこそ目を宝石のように輝かせて、ガラスケース越しからブレスレットやネックレスを覗き見る。
この人の為なら何でも買いそうな自分がいたが、彼女は自ら値段制限を作っていて、どんな素敵な物でも、値段を見るなりプイッと視線を変えるのだ。
それを横から観察してるのがまあ楽しい。
私「 あ、これ、いいなあ! 」
俺の袖を数回引っ張り、なになに?と指で指された物に視線を移す。
値段は大分お得な物であったが、実に煌びやかで美しく、且つ俺が付けても問題なさそうなほどシンプルなものであった。
八野「 へえ、凄いホント綺麗だね。これでいいの? 」
俺のコートを揺らしながらコクコクと頷く。
じゃあ買うか、とレジに向かおうとした時、
私「 お揃いにし、したいなあ … って。」
あまりアクセサリーを身に付けるのは好きじゃないけど、モジモジとあざとく視線を逸らしてオネダリされたら、YES以外の答えなんて言うわけが無いだろ。
二人分のブレスレットをカードで支払って購入し、Aは早速浮かれながら自身の左手首につける。
俺も右手首に彼女と同様に身に付ける。
八野「 … あっ、ごめんA、先に車戻っててもらっていい? 」
店を出て数メートル。まるで 何かを忘れたかのように 車の鍵を手渡す。
彼女は1つの疑問も持たず、素直にうんと朗らかに笑う。
彼女が見てない間に買わなければいけないものがあり、再度元の店へ駆け込んだ。
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ぺんぎん - 終わり方めちゃ好き…すごく面白かったです! (2021年3月8日 14時) (レス) id: 223a7324a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皇 | 作成日時:2019年2月2日 2時