了 ページ23
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「私ね、初めてだったの」
夕日のオレンジ色が染み込んだ風景、その帰り道。あの後どちらからともなく帰ろうと言って、こそこそと誰とも会わない様に学校を出た。
特に何の用事もないけどゆっくりと二人で歩いていた。日常からこぼれ落ちた非日常は、私と晋ちゃんの二人きりの世界。手が、肩が触れ合いそうで触れ合わない、微妙な距離。いつもよりずっと縮まった私達のこの間が妙にもどかしい。
「でも晋ちゃんだったから全然怖くなかった。だからね、私は最初が晋ちゃんでよかったなーって思う」
そう言ったら晋ちゃんは大きく目を見開かせて信じられないと言いたそうな顔をして、そして顔を俯かせてしまった。あれ、なにかおかしい事言っちゃったかな。どうしようどうしよう。
「……お前さ、なんでそんなに馬鹿正直なんだ？聞いてるこっちが恥ずかしいんだよ」
隣でオロオロしている私に我慢の限界が来たのか、晋ちゃんはやっと顔を上げて呆れた様な口調で私に問いかけた。なんとなく晋ちゃんの顔がさっきより赤くなってる気がした。
「んー……分かんない。でもね、私そんなに正直じゃないよ。
私ずっと晋ちゃんの事と友達だって思ってたんだけどね、今晋ちゃん以外の他の友達の事が考えられなくて、モヤモヤするしドキドキするの。自分の事なのに、自分が分からないの。きっと、本当の私は正直じゃないよ、多分」
そう言い終わった私に晋ちゃんが何かを言おうとした時、また生温い風が吹いた。その時に私の手が晋ちゃんの手にちょんと当たってまたドキリとした。
「お前って、本当バカだな」
ほんの少し間を空けて、晋ちゃんが溜め息混じりにそう言った。そして辺りをキョロキョロと見渡して、さっきみたいにまた私を真正面に見て、形のいい唇をゆっくりと開いた。
「……あのさァA、俺と、付き合えよ」
うるさいなぁと思っていた蝉の声が消えて、晋ちゃんの声だけが頭の中で反響する。有無を言わせないような口振り。聞きようによっては自意識過剰にも聞こえるかもしれないけど、二つの目はゆらゆらと揺れ、声は少し掠れていた。
「言っとくけど、俺も初めてだから」
それは付き合うのがって事なのだろうか、それともキスしたのが、って事なのだろうか。
どちらでもある様な気がするし、どちらでもいい気もする。とりあえず私は返事の変わりにもう一度キスをして、晋ちゃんを困らせたいと思った。(あれ、もしかして私って変？)
END
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瑠璃鶲(プロフ) - エトさん» 大変申し訳ございません！(滝汗)しかしその様に言ってもらえて大変ありがたいです！寧ろ私の利己的な作品を見てくださっているので、感謝の言葉しか出てきません。今後は誤解のない様に何らかの対策を講じるので今後も閲覧よろしくお願いします！ (2017年9月9日 22時) (
レス) id: a2c8773b35 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃鶲(プロフ) - エトさん» コメントありがとうございます！えーっと、作品の冒頭の追記欄に書いてある通り、基本的に物語の終わりにはENDを付けております。したがって『忠誠心』という物語はまだ未完の状態でありまだ続き物として扱っていたのですが……分かりづらかったですよね。(汗) (2017年9月9日 22時) (レス) id: a2c8773b35 (このIDを非表示/違反報告)
エト - 高杉の忠誠心の作品は、読んでいてとてもわくわくしながら観ました！出来ればあの後どうなったのか続編の作品が観たい！我が儘だと自覚していますか。お願いします (2017年9月8日 18時) (レス) id: 32fc95954c (このIDを非表示/違反報告)
後輩2(プロフ) - アルハ*平日低浮上*さん» コメントありがとうございます！まさか書いた直後にコメントをもらえると思っていなかったのですごく嬉しいです！むしろまたコメントしてくださってありがとうございます(五体投地) (2017年8月11日 8時) (レス) id: c37a9d99ce (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 何度もすみません、高杉ドストライクです。ありがとうございます(土下座) (2017年8月11日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃鶲 | 作成日時：2017年1月24日 1時
