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「今日も見廻りなの?ご苦労様ねぇ、どっかのプー太郎の社長とは大違いだわ。

あ、そうそう。ついでにあれのお持ち帰りお願いできるかしら?」


あれあれ、と姉御が指差したのは見るも無残な姿と化してしまった近藤さんだった。


「残念だけど私の家ではゴリラは飼えないの。それにAちゃんも……ね?」


にこりと、だが純粋とは言いがたい。隠れた意味を含ませた、なんとも食えない笑み。あァ、この人は本当に笑顔が似合うなぁ。


「あはは、何の事やら……あ、私まだ仕事中なので戻りますね。姉御も買い物の途中だったのでしょう?」


「あらそうね。それじゃあ私はここでおいとまさせてもらうわ」


姉御はじゃあね、とひらひら手を振った。私は一礼した後、彼女に背を向けて近藤さんの方へと歩み寄った。




「Aちゃーん!たまには素直にならなきゃ駄目よー!」




姉御の声が聞こえた。まるで勝手に心の中を覗かれたようで、私は酷く不愉快な気分になり、地面を強めに蹴って歩いた。








「ハハハハハ!いやぁ〜スマンなA!また駄目だった!」


近藤さんは赤く腫れた顔で笑った。あぁ、なんて痛々しいの。


「だが、俺は決して諦めんぞ!必ずやお妙さんのハートをゲットしてみせる!!うおおおお!!お妙さァァァァん!!」


あの、ここで雄叫びを上げないでください。善良な市民の皆さんが私達を白い目でみておられますよ。そして沖田さんいつの間にかいないし。あのクソ上司スキをついてサボりに行っちゃったし。あぁもう、本当に顔と剣術以外はクソ野郎だ。アイツ嫌い。


はぁ、と私はまた溜め息をついた。


けれどもそれが良くなかったみたいで。




「……なぁ、A」


「はい?」


「辛かったら、止めてもいいぞ」


「え、何をですか?」


「真選組の仕事を、だ」


「…………え、え?」



あまりにも唐突過ぎて言葉が出ない。冗談だと思いたかったが、近藤さんが真剣な目で、声色で言うものだから本気で言っているのだと痛感せざるを得なかった。



「なん、で、いきなり、そんな事を?」


話を丸め込まれないように自分が主導権を握ろうとしたが、それは私にとって大変至難の技であり、情けない事に今にも消え入りそうな声を絞り出すのでやっとであった。


「いきなりじゃないさ。俺は……俺達はずっと前からこの事を考えていた」





青かったのは空、自嘲気味に笑ったのは近藤さん。



やけにうるさく響く鼓動は、私のものだった。

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設定タグ:銀魂 , 短編集   
作品ジャンル:アニメ
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瑠璃鶲(プロフ) - エトさん» 大変申し訳ございません!(滝汗)しかしその様に言ってもらえて大変ありがたいです!寧ろ私の利己的な作品を見てくださっているので、感謝の言葉しか出てきません。今後は誤解のない様に何らかの対策を講じるので今後も閲覧よろしくお願いします! (2017年9月9日 22時) (レス) id: a2c8773b35 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃鶲(プロフ) - エトさん» コメントありがとうございます!えーっと、作品の冒頭の追記欄に書いてある通り、基本的に物語の終わりにはENDを付けております。したがって『忠誠心』という物語はまだ未完の状態でありまだ続き物として扱っていたのですが……分かりづらかったですよね。(汗) (2017年9月9日 22時) (レス) id: a2c8773b35 (このIDを非表示/違反報告)
エト - 高杉の忠誠心の作品は、読んでいてとてもわくわくしながら観ました!出来ればあの後どうなったのか続編の作品が観たい!我が儘だと自覚していますか。お願いします (2017年9月8日 18時) (レス) id: 32fc95954c (このIDを非表示/違反報告)
後輩2(プロフ) - アルハ*平日低浮上*さん» コメントありがとうございます!まさか書いた直後にコメントをもらえると思っていなかったのですごく嬉しいです!むしろまたコメントしてくださってありがとうございます(五体投地) (2017年8月11日 8時) (レス) id: c37a9d99ce (このIDを非表示/違反報告)
アルハ*平日低浮上*(プロフ) - 何度もすみません、高杉ドストライクです。ありがとうございます(土下座) (2017年8月11日 0時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠璃鶲 | 作成日時:2017年1月24日 1時

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