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「これは一体どうすれば…」
額に手を当ててそんな問いを投げ掛けても、勿論目の前の子供から返事が返ってくるわけもない。というか一体誰なんだ、誰の子供なんだ。幼稚園児の服を着て、バックを下げているということは、4歳か5歳だろう。3歳じゃ大きすぎるだろうし。
「おれのなまえはいけだとーる。ごさいだ。しゅういちはおれの母さんのどうりょう? なんだ。あとからジョディもしゅういちも来るといってた」
玄関先でこれだけの説明ができる幼稚園児。
素晴らしいと思う。偉い。
しかしそんな話は聞いていない。
先程赤井が用事ができたと言って慌てた様子で(端から見ればそうは見えないが)出ていった。
チッと舌打ちをしながら。
「すまぬ。事実確認のために、これからそのしゅういち…名は赤井秀一でいいか? に電話をする。少し待っていてくれ」
こくんと頷くいけだとーる君を見て、赤井に電話を掛けた。
ワンコールで出た赤井に驚いていると、開口一番【子供はまだ来てないな!?】と言ってきた。
「いけだとーる、という子供が来ている」
『あぁっ、何てことだ…!』
悲痛な声を漏らす赤井。取り敢えず分かっていることと聞きたいことを伝えようと思い、電話の向こう側で英語で誰かと話す赤井に声を掛けた。
「赤井? 今日預かるのか? 同僚さんの子で、あとから赤井とジョディ? さんが来ると聞いたが」
『俺のいない間に話が進んでいたんだ。全く…嫌なら、これからでも断るが』
「赤井の気が乗っていないように聞こえるが…私は構わない。この子はしっかりしているし、子供は嫌いではないのでな」
数秒の沈黙。
車のエンジン音が聞こえるから、おそらく移動中なのだろうと思われた。
「赤井?」
『…すまない。…直ぐにそっちに向かう』
電話を切られ、赤井は苦労人だな、と思っていると下から視線を感じた。
「どうした?」
「なんでもない。い、いえが、おおきいんだな」
「そうか、そうだな。だが、この家は貸してもらってるだけだ。私の家じゃない」
私が外に出て、とーる君に家にはいるように促す。
「おじゃまします…?」
「あぁ、どうぞ」
内装を見てキラキラと目を輝かせているとーる君。なんか、可愛いな。
「疲れただろう、今飲むものを持ってくる。オレンジジュースでいいか?」
「お、おかまいなく」
「畏まらなくていい、今日はここは君の家でもあるんだ」
そういうと、とーる君はやっと笑った。
――
池田秀一さんと古谷徹さんの名前を借りました。
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ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。個人的にとーる君は書いていて楽しいので、この話が一段落しても出てくるかもしれません( ̄∇ ̄*) (2019年3月29日 22時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です!!!作者様のペースで大丈夫ですよ!更新頑張ってください! (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました。閲覧ありがとうございます。 (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ x他1人 | 作成日時:2018年5月20日 18時