検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:48,709 hit

55 ページ10

「Aさん、首のそれって…キスマークじゃないですか?」

そんな蘭ちゃんの一言の後、パリン、と静かな店内に皿の割れた音が響いた。
音のした方を見れば、安室さんが割れた皿の破片を持ったまま硬直していた。

梓さんは買い出しでいない。

「大丈夫か、安室さん」
「大丈夫です、すみません。お気になさらず」

笑顔を見せた安室さんだったが、破片を片付ける作業が少し荒く見えて、今日は機嫌が悪いのかと心配になった。

本人が大丈夫だと言うのなら、まぁ大丈夫なんだろう。

「キスマーク…?」
「もしかして恋人がいらっしゃるんですか!?」

蘭ちゃんが興味津々という感じで聞いてくるのに対して、私は内心言われたそれが何なのかずっと考えていた。

「いるが…キスマーク、とはなんだ?」
「まぁ、男の独占欲の表れ、みたいな物ですよ」

安室さんが笑いながら差し出してきたハムサンドを見て、さっきはこのタイプの皿を割ったのかとその握力に驚いた。

安室さんから小さな鏡を渡され、首を見てみれば、そこには赤い内出血があった。

「…え」

このあとのことはあまり良く覚えていない。
梓さんが買い出しから戻ってきて、恋人は誰だという話になり、あの事件(31〜3話参照)に居合わせた梓さんが沖矢さんだ〜と言ってまた皿が犠牲に……。

それから懇切丁寧にキスマークとは何かを叩き込まれた。
終いには安室さんから「やり返してあげればいいんですよ」と言われた。



そして今現在。

「どうしてそんなに不機嫌なんだ?」
「どうしてもこうしてもない」

やり返せと言われたって、どうしろと?
しかも赤井が私にキスマークなんか付けなければあんな事にならなかったのに。
という理由で、ソファで頭を抱えているのだ。

「あーもう、目を閉じて動かないでくれないか!!!」
「!?…分かった」
「…」

言われた通りに、私につけられた場所と同じ場所につけた。…だが、薄っすらとついただけだ。

「…上手くいかんな……」
「誰に教わったんだ?」

いつの間にやら、手首を掴まれて逃げられなくなっていた。

「梓さんに…」
「ホォー、ポアロには安室君も居た筈だが」
「安室さんには、やり返してあげればいいって言われただけだ!」
「眠っている間に君が俺を呼ぶからつけたんだが…そんなにしたいなら、体で覚えるといい」
「危ないセリフに聞こえるんだが!?!?」

このあとどうなったかは、察して欲しい。

56→←54



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (102 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
624人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユキ(プロフ) - さちさん» コメントありがとうございます。個人的にとーる君は書いていて楽しいので、この話が一段落しても出てくるかもしれません( ̄∇ ̄*) (2019年3月29日 22時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きがすごく気になりました。よろしくお願いします。 (2019年3月29日 22時) (レス) id: 1af3590574 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます。学業も忙しくなりますので更新ができない日々もあると思いますが、作品をよろしくお願い致します。コメント嬉しいです(о´∀`о) (2019年3月15日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 受験お疲れ様です!!!作者様のペースで大丈夫ですよ!更新頑張ってください! (2019年3月14日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 明里香さん» 教えて下さりありがとうございました!修正しました。閲覧ありがとうございます。 (2018年8月3日 7時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ユキ x他1人 | 作成日時:2018年5月20日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。