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赤井秀一side

あれから1ヶ月ほど経つが、未だに沖矢昴として会えば話してくれるものの赤井秀一として会えば警戒心を剥き出しにして接してくる。

どう接していいか分からなくてそうなっているのは分かっているのだが、1ヶ月間ずっとそれは流石に俺もキツい。

工藤邸にて俺とボウヤ、Aと今日夕飯を一緒に食べる約束をしたのだ。そして今の俺は沖矢昴として変装をしている。
そしてメニューは彼女のお気に入りのカレーだ。

チャイムがなり、玄関を開ければ、ボウヤとAが手を繋いでいた。姉弟のようにも見える。
明らかに彼女がホッとしているのが分かった。

そんなに赤井秀一は苦手なのか。

「こんばんは、沖矢さん」
「こんばんは!」
「こんばんは、どうぞ上がって下さい」

今日はボウヤがいる。
二人きりでなければ大丈夫だろうと思い、変装をといた。カレーを温めている最中、パタパタとスリッパの音が聞こえてきた。

「沖矢さん、なにか手伝えることがあるなら……うわッ」

あからさまに反応する彼女。
いつになったら慣れてくれるんだと思い、思わずため息をついた。
すると彼女はおずおずと近寄ってきた。

「どうした、俺のことが苦手なんじゃないのか?」
「……てやっ」

彼女の行動に頭が真っ白になった。
少し屈んで問いかけた俺の頭を、何故彼女は撫でているんだ?

「は……?」
「苦手では、ありますよ。明らかに年上なのにタメ口で話していいのかとか、沖矢さんと見た目も話し方も違うのに一緒にいて安心するところとか…まぁそれだけではないですが」
「そうか…別に敬語を無理して使う必要はないぞ。それより一つ聞きたいんだが、なぜ君は俺の頭を撫でているんだ?」

そう聞けば、撫でるというよりもぐしゃぐしゃと髪を掻き回された。

「人はこういう気持ちの時に、こういうふうにするのだろう?」
「どういう気持ちだ」
「教えるわけなかろうが、馬鹿め」

彼女は皿を人数分である三枚持ってくると、さぁよそれとばかりに目を輝かせた。
そしてカレーをよそい、皿を渡せばふわふわとまわりに花を浮かべながら歩いていった。

「赤井さん赤井さん」
「…どうしたボウヤ」

耳を貸すようにジェスチャーをされ、耳を寄せた。

「さっき僕、Aさんから頭を撫でる意味を聞かれたんだけど」
「なんて言ったんだ」
「…愛情表現じゃないかなって」
「……Goodjob」

俺は目元を抑えて天井を仰いだ。
俺には苦笑いを浮かべたボウヤなんて見えていない。絶対に。

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ユキ - 田中。さん» 田中。さんの作品読ませて頂いております!コメント頂けてとても嬉しいです。琵琶湖をテーマ、というか、近江国を物語に入れたかったんです(笑)コメントありがとうございました、応援しています!! (2018年6月12日 20時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
田中。(プロフ) - 琵琶湖という言葉にドキリとしました!これからワクワクしながら読みたいと思います (2018年6月11日 1時) (レス) id: ddae4419b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» 励みになります、本当に感謝です…! (2018年5月20日 11時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - まさかの和解!予想していなかった展開で驚きました!ゆっくりでいいのでこれからも頑張ってください! (2018年5月20日 7時) (レス) id: adda87380c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - ゆうさん» いつも読んで下さってありがとうございます!コメントを読む度にほっこりとさせて頂いております。更新遅くてすみません、これからもこの作品をよろしくお願い致します! (2018年5月12日 17時) (レス) id: 5d51fce380 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユキ | 作成日時:2018年3月27日 18時

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