４４話 ページ44
「ねぇ・・・今動いたらどうなるか分かってるよね？」
ｻﾞﾜｻﾞﾜと木々の揺れる音がする。
いや、風の音しかしない。そんな静かな森の中。
Aはｺﾞｸﾘと息を呑み込んだ。
こめかみに当たる硬い感触は、さらにAを緊張させた。
死ぬことはない・・・だが、麻痺はする。それがヴァンパイアだ。
麻痺をしてしまえば、勝ち目はない。
一瞬の隙が命取りになるかもしれない。
じゃぁどうすれば？
大人しくついていく？
麻痺を覚悟に振り向いて攻撃を仕掛ける？
いろいろな思考がめまぐるしく脳の中を駆けめぐる。
「・・・やけに大人しいね。
泣き叫んでくれたら楽しいのにさ？」
そんな相手の言葉など聞こえないぐらいに、僕は考え込んでいた。
解決の糸口を探していた。
でも、ｽﾞｶﾞﾝｯと大きな音で僕の思考回路は停止した。
自分が撃たれた・・・？
違う。
″相手が撃たれた″
「遅くなった。」
「お兄・・・さ・・ん？」
低く、僕の脳に響き渡る声が後ろから聞こえた。
振り向いた時、僕は一瞬戸惑った。
敵を撃ったのは間違いなくお兄さん。
だけど、僕がみたお兄さんは、お兄さんではなかった。
右頬に十字架マーク
ｷﾗﾘと見える＿＿＿＿＿牙。
あの深紅の瞳は、前と変わらないけど・・・
「これでお兄さんもヴァンパイアだね。」
「・・・あぁ」
お兄さんは、どこか悲しげだった。
なんだ・・やっぱりお兄さんも不安なんだね・・・でも大丈夫だよ？
僕はお兄さんの傍まで行き、抱きしめた。
「大丈夫。ボスはボスだよ。
何も変わらない。確かに見た目が変わっちゃったけど。
それでもヴァリアーのボス・・・ザンザスに変わりはないから。
皆も同じ気持ち。
僕、わかるんだよ？少し同じ空間で過ごしてきただけでも、
ベル達がどんなにお兄さんのこと好きか・・・・分かるんだよ。
これからもヴァリアーは狙われるけどさ、それはいつもと変わらない日常じゃん？
でも、今の状況は打破しなきゃいけないからさ。
終わらせよ。
それで・・・・皆のとこ帰ろ？」
顔を上げ、ザンザスの目を見る。
そこに、悲しげな瞳はどこにもなかった。
僕が見てきた・・・ずっと好きだった瞳。
「・・・いくぞ。」
「・・・了解ｯ」
【僕らの戦いは終幕を迎える】
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しるふ(プロフ) - 真冬さん» コメントありがとうございます。実は書く方は引退していたのですが、もう一度書いてみようと思います。フランですね笑ありがとうございます！ (2015年6月6日 12時) (
レス) id: 7543b7678c (このIDを非表示/違反報告)
真冬(プロフ) - とてもおもしろかったです。 いつかでいいのでフランとか、見てみたいなぁとか思いました。フランとか･･･（笑）でも、ボスの男前にも惚れました/// 次の作、楽しみにしてます。頑張って！ (2015年5月25日 23時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
しるふ(プロフ) - レッドスカイさん» 読んでいただきありがとうございます!!前作も読んでいただき、今作も読んでいただき、本当に感謝してます！ありがとうございました！ (2015年2月5日 20時) (レス) id: 7543b7678c (このIDを非表示/違反報告)
レッドスカイ(プロフ) - 一気読みしました！前作同様面白かったですっ！ボスイケメンすぎる！惚れる！/// お疲れ様でした！ (2015年2月5日 20時) (レス) id: 2e29f82d74 (このIDを非表示/違反報告)
碧みんく(プロフ) - しるふさん» うんッ！皆の血、吸ってみたいn((殴 本当にお疲れ様でしたっ！ (2015年2月3日 19時) (レス) id: 4c374be14d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しるふ | 作成日時：2015年1月12日 22時
