無実の証明 ページ40
エンマ様は仕事が早かった。
その後すぐにイカカモネ議長の残党からゲソヒゲール大臣の無実の証拠を手に入れた。そして妖怪裁判所によって、ゲソヒゲール大臣は無実の判決が出され、晴れてムゲン地獄釈放となった。
「ありがとうございます、エンマ様」
無罪を勝ち取ったゲソヒゲール大臣のニュースを見て、私はエンマ様に頭を下げた。
「いいや、これぐらい気にするな」
「エンマ様、昔から…いつも私が困った時に救ってくれますよね。感謝してもしきれません。旅に出られると聞きました。少し寂しいです」
顔を上げ、エンマ様を見上げた。
エンマ様は私を見下ろして、目を細める。
「寂しいか？」
「もちろん」
「では…ついてきて欲しいところだがな」
手が私に伸びるので、私は手を握った。
そこでふか〜い漢方を渡す。
「ふふっ、沢山あげますね」
「げっ、まじか！そこで漢方くるか〜！」
エンマ様は漢方を胸元にしまい、素早く私の手を握る。
「ちょっ！！エンマ様！！カイラ様に叱られます！！」
「んでだよ。友の手を握っちゃ悪いのか？」
「エンマ様は凛々しいので勘違いしちゃいますー」
「棒読みは失礼だぞ、もっと感情を込めてくれ」
私は手を自身に引き寄せて、エンマ様を見つめた。
琥珀色の瞳が近づき、私を映す。
少し驚いているエンマ様。
「長旅なんですよね。くれぐれもお気をつけて。
エンマ様は妖魔界の為ならご自身を犠牲にできる方だから……でも私達妖魔界の者たちは貴方が大好きですから、無理だけはしないでくださいね」
琥珀色の瞳が丸くなる。
しかし、すぐに目が細められ、手を離され、距離を置かれた。
「っ、ありがとな……あぁ！！本当にA、俺の──」
「Aとの会話時間は終了だ。早く旅に出ろ、エンマ」
間にカイラ様が割り込んだ。
「A、カイラに虐められたらすぐ連絡しろよ。俺がもらってやる」
「何を言っている…エンマ、貴様…！」
「カイラ様っ、エンマ様ジョークですよ、ジョークですから！！本気にしないでください！！」
カイラ様が剣を抜いて、ものすごいオーラを出すので、無理矢理カイラ様の腕を引いてエンマ様から引き離した。
❀
「エンマ様、お気をつけて」
「あぁ。Aもな」
エンマ様はカイラ様と一戦交えた為、少しボロボロだ。
「ぬらりひょん様もお気をつけて」
「あぁ。Aこの妖魔界を頼んだぞ」
「承知しました！」
私は力強く頷いた。
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