すべての判決にて ページ23
優しく誰かに頭を撫でられた。
「A」
*
*
「はぁっ、……カイラ様っ…」
私が目を覚ました時には全てが終わっていた。
白い大きなベッドに私は寝かされていた。
私の顔を見て、すぐに白衣着た妖怪が出て行って、色々私の体を確認される。
あぁ、私は病院に居るんだ。
「カイラさま……」
私は手が震えた。
「すみません、カイラ様をご存知では無いですか？私はあの方の元に向かわなければならないのです」
掠れた声で必死に伝えた。
しかし、医師達を困らせるだけだった。
私は窓の外を見て、胸を押えた。
❀
何も情報がない。
テレビもここの個室には置いていない。新聞もだ。病室を出ようとすれば扉の前に妖怪が立っていて連れ戻された。
窓から飛び出そうとした時、扉が叩かれた。
「A」
扉が開き、立っていたのはエンマ様だった。
「目覚めたか、良かったっ……！！」
勢いよく腕を引かれ、抱きしめられたが私は訳が分からない。彼を強く押し返した。
「待ってください！！カイラ様は、カイラ様は……」
「カイラは地下牢獄にいる」
その瞬間、私はエンマ様を睨んだ。
エンマ様にこの怒りを向けるのは間違っているが、抑えきれなかった。
「どうしてっ、どうしてですか！！カイラ様は無実です！！どうして……エンマ様は全てを知っているはずでしょう？」
「あぁ、知っている。その上でカイラは地下牢獄なんだ。まだムゲン地獄行きではない」
カイラ様もその判決を受け入れているらしい。
カイラ様は反乱勢力に担ぎあげられ、剣を握り、邪気を自ら纏ったという。そして、何人かの妖怪を従えて実際に一部のミカド族を攻撃、また大臣を取り込んでいた。
つまりもう反乱を起こす寸前であったという。
しかし、カイラ様の事情を考慮した上で情状酌量の余地もあると判断され、他の反乱を起こした妖怪達よりも罪が軽くなったらしい。
ムゲン地獄行きは私を刺した黒幕の妖怪らしい。
「……エンマ様、私はカイラ様と面会することは叶うのでしょうか」
「いや、出来ない」
キッパリと告げられ、私はその場に崩れ落ちた。
「カイラ様は何年、何年後に出られるのでしょうか……」
「……百年後だな。反乱の罪は重い。俺もそこまで進んでいるとは予想していなかった。……A、力になれなくてすまなかった」
エンマ様に深々と頭を下げられて、私は混乱し、感情はぐちゃぐちゃだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 21人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
