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読めない妖怪 ページ11





「邪魔だ。道を塞ぐな」



カイラ様の冷たい視線が私に向けられる。



「カイラさ…」
「悪かった、カイラ。Aも引き止めて悪かったな!」
「いえ…」



エンマ様は相変わらず笑顔だ。
私は勢いよく頭を下げたあと、逃げるように教室をカイラ様と一緒に出る形になった。

一つ解決したかと思えば他の問題が出てくる。





「カイラ様…?」
「話しかけるな。不愉快だ」
「…申し訳ございません…」


カイラ様は先に行ってしまった。





私は諦めて、家に帰ることにする。




私はエンマ様が読めなさすぎて怖かった。
突然漢方を取り出す私は、ただのヤバい奴にしか思われないはずなのに。
あれで面白いとは何か裏があるのかと疑ってしまう。

また、今まで関わってこなかったエンマ様が関わってしまったことで、カイラ様はこれ以上ないぐらいに不機嫌だ。




上手くいかない。










一旦家に帰ってある物を作って、課題を終わらせた後、森に向かった。



「カイラ様」
「Aか…」




カイラ様は静かに木刀をおろし、私を見た。




「カイラ様、今日は本当にすみませんでした…これ、良かったら…」




私は箱を開けてカイラ様に見せた。



「スコーンという菓子です!あと、紅茶も持ってきました!」
「……スコーン?」




カイラ様は不思議そうにスコーンを見つめる。



「一度休憩されてはいかがでしょう?」
「……Aは料理をするのか?」


「え?」



カイラ様を見上げると、何やら真剣そうだった。


「はい!楽しいので!」
「……そうか」



「カイラ様?」




そう呼びかけるとカイラ様は眉を下げて、小さな声で言った。




「おにぎりが食べたい」
「っ…!」




カイラ様はすぐに顔を逸らし、また木刀を構えた。



「なんでもない、忘れてくれ」
「いや、作ります!明日作って来ますね!」





嬉しかった。カイラ様が少し心を開いてくれている気がした。それが堪らなく幸せで泣きそうになる。

このまま、カイラ様が────

そしたら、カイラ様は…






「A、鍛錬しに来たんだろう?」
「はいっ!」





私は差し出された木刀を受け取り、構えた。

もちろんカイラ様はとても強いので一度も勝てなかったのだが。
最近はコツを丁寧に教えてもらい、私の特訓になっている気がするが、カイラ様はどこか楽しそうだった。



私もその様子を見て嬉しくなった。



前世の記憶を取り戻してからすでに二ヶ月が経過していた。

▽君の隣は私の居場所→←刺すような視線



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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2024年3月4日 8時

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